動物園では人気者のジャイアントパンダですが、なかなか野生の姿を見ることはありませんよね。
野生のパンダの生息地はどんなところなのでしょうか?
パンダが生息する地域には、どのような地形的・気候的な特徴があるのでしょうか?
パンダの生息地について詳しく解説します!
パンダの生息地について
それでは早速、パンダの生息地はどこなのかを見ていきたいと思います!
また、パンダの生息地の地理的・気候的な特徴も解説します。ご覧ください!
パンダの生息地は世界で中国だけ
中国日本大使館のホームーページによると、野生のジャイアントパンダの生息地は次の通りです。
野生パンダは秦嶺山系、岷山山系、キョウ(功のつくりをおおざとに)ライ(山+来)山系、大相嶺山系、小相嶺山系、凉山山系の6大山系に生息し、これらの生息地は四川省、陝西省、甘粛省の3省17市・自治州、49県・市・区、196郷鎮に及んでいる。
中国の野生パンダ生息数も生息地面積も増加 第4回全国調査で判明 – 中華人民共和国駐日本国大使館
ジャイアントパンダの生息地は、チベット高原の東端の中国北部から南部にかけて広がっています。標高約1,300mから4,000mの山岳地帯です。
特に陝西省の秦嶺山脈(しんれいさんみゃく)には、野生のジャイアントパンダが多く生息しています。
また、四川省から雲南省にかけて広がる山岳地帯には、大規模なパンダ保護区がいくつも設けられていて、ジャイアントパンダの保護・研究活動の中心的な役割を担っています。
また、現在は中国以外のパンダの生息地はありません。
パンダの生息地が中国の一部の地域だということが分かりましたが、これらの地域にはどのような地理的・気候的な特徴があるのでしょうか?
<参考>
*パンダの生態と、迫る危機について |WWFジャパン
パンダの生息地はどんなところ?
野生のジャイアントパンダの生息地の地理的・気候的な特徴は次の通りです。
パンダの生息地である中国の山岳地帯は、温帯と亜熱帯の気候を併せ持っています。
こうした地域では、多種多様な動植物が生育していて、パンダの主食である竹も豊富に生えています。
また、冬は非常に厳しい寒さに覆われるため、パンダの天敵になるような大型の肉食動物はほとんど生息することができず、パンダが生き延びるのに適した環境になっています。
<参考>
*Q6:ジャイアントパンダはどんなところに棲んでいるの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
パンダはなぜ中国だけに生息しているのか?
野生のジャイアントパンダが中国だけにしかいないのはなぜなのでしょうか?
一般的には、次のような理由があると言われています。
理由①:進化の過程で現在の生息地に適応していった
理由②:山林の開発により生息地が縮小してしまった
理由③:現在の生息地以外に適した場所がない
今から200万年以上昔、パンダの祖先は今よりもっと広範囲に生息していたといわれています。
化石調査ではミャンマーやベトナムなどでも化石が発掘されていて、標高500~700mの今よりも低い土地にも生息していたようです。
それが上記のような理由によって、現在のように中国のごくわずかな地域に生息地を移していったとされています。
特に、理由②で挙げた山林の開発による生息地の縮小は、今に至るまで残る課題となっています。
ここからはパンダの生息地の減少についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
パンダの生息地の減少が問題になっている
近年、野生のジャイアントパンダの生息地の縮小や分断が大きな課題となっています。
なぜ、パンダの生息地が減少してしまったのについてや、それに対してどのような取り組みが行われているのかについてご紹介します。
パンダの生息地が減少している理由やその影響
パンダの生息地の減少の大きな要因は、人間による生息地の開発です。
これをもう少し細かく見ていくと、3つの理由に分けることができます。
理由①:中国の人口の爆発的な増加
過去数百年間で中国の人口が飛躍的に増加し、もともとパンダなどの野生動物がすんでいた場所も人間の生活圏として開発されました。
理由②:鉱物資源や木材の採取のための開発
パンダの主要な生息地である秦嶺山脈は、金・ニッケルなどの鉱物資源の宝庫として開発が進みました。
理由③:竹の一斉開花による餓死
パンダの主食である竹は、30~120年に一度開花し、その後一斉に枯れてしまいます。竹が枯れるとパンダは食べ物を確保できずに餓死してしまいます。
このような理由から、パンダの生息地の減少が進み、現在のように標高の高い山岳地帯にしか生息できなくなってしまいました。
また、生息地の「減少」だけでなく「分断」も大きな課題です。
森林の開発が進み道路が整備されると、パンダなどの野生動物は生息地と生息地の間を行き来できなくなってしまいます。
この状態を「分断」といい、分断された生息地を越えての移動や繁殖が困難になります。
生息地の減少や分断は、そのままパンダの生息数の減少にもダイレクトに影響を及ぼします。
このような環境の変化によってパンダの生息数はどのように変化したのでしょうか?
<参考>
*パンダの生態と、迫る危機について |WWFジャパン
パンダの生息数の変化
現在、野生のジャイアントパンダの生息数は、1,800頭ほどです。
★1977年…2,459頭
★1988年…1,114頭
★2003年…1,600頭ほど
★2015年…1,864頭
1977年には約2,500頭いたパンダですが、環境破壊や密猟によってたったの10年で半分以下に減ってしまいました。
この状況を変えるために、中国政府は30か所以上の自然保護区を設立し、パンダの保護研究活動に国を挙げて取り組むようになりました。
分断された生息地を再び森でつないだり、飼育下で繁殖したパンダを自然に帰したりする努力が実を結び、パンダの生息数は再び増加傾向になっています。
<参考>
*ジャイアントパンダについて|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
*パンダの生態と、迫る危機について |WWFジャパン
パンダの生息地について解説してきました。
野生のパンダは中国の限られた地域にしか生息していない、非常に珍しい動物だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
自然界ではなかなかお目にかかれないパンダですが、動物園では見ることができますよ。
日本でパンダがいる動物園は、こちらの記事でまとめているのでぜひご覧ください!