「マヌルネコ」は英語でなんというのか知っていますか?
Google翻訳にかけると「manul cat」という翻訳が出てきますが、実際はマヌルネコには他の英語の呼び方があるんです。
この記事では、「マヌルネコは英語でなんというのか?」「英語名にはどのような由来があるのか?」について調べてまとめました。
マヌルネコの英語名の他にも、「マヌル」の意味や学名などについても詳しく解説します!
マヌルネコは英語で「Pallas’s cat」!なんで「manul cat」って言わないの?
マヌルネコは英語で「Pallas’s cat」(パラスズキャット)といいます。直訳すると「パラスの猫」という意味です。
「パラスって何?」って思いますよね。実はこれ、マヌルネコを発見した学者さんの名前なんです。
1776年にマヌルネコを初めて発見したドイツの植物学者の名前は、Peter Simon Pallas(ペーター・ジーモン・パラス)さん。
この「Pallas」からとって、「Pallas’s cat」という英語名が付けられたのです。
ただ、英語圏の動物園の公式サイトをいくつかチェックしたところ、「Pallas’s cat」だけでなく「Manul」という表記も多くありました。
「Pallas’s cat」と言わなくても、「マヌル」でも英語圏の人にも伝わるみたいです!
マヌルネコは英語で「Pallas’s cat」(「Manul」でもOK)と分かってすっきりしたところですが、そもそも「マヌル」ってどういう意味なんでしょうか?
ここからは「マヌル」の意味についても調査していきたいと思います!
*参考:マヌルネコ – Wikipedia
マヌルネコの「マヌル」ってどういう意味?
さっそくマヌルネコの名前の謎を解き明かしていきましょう!「マヌル」とは一体どういう意味なのか?
最近流行りの韓国グルメ「マヌルパン」と関係がある、つまり韓国語由来の言葉なのか?それともまったく関係がないのか?!
マヌルネコの基本情報のおさらいもしながら、名前の由来を調べました。
《おさらい》マヌルネコの基本情報
マヌルネコは「世界最古のネコ」といわれるネコ科の動物です。モフモフな体や独特のムスッとした表情にハマる人が続出し、ファンからは「世界一不機嫌なネコ」として愛されています。
《基本情報》
・和名:マヌルネコ
・学名:Otocolobus manul
・英名:Pallas’s cat
・別名:モウコヤマネコ
・分類:食肉目 ネコ科
・分布:中央アジアの乾燥地帯や高地(ロシア、モンゴル、中国など)
・その他:準絶滅危惧種に指定
*参考:どうぶつ図鑑「マヌルネコ」 | 東京ズーネット
*参考:マヌルネコ | 神戸どうぶつ王国
マヌルネコのさらに詳しい特徴は、こちらの記事でまとめています!
動物園の解説ページから「マヌル」の意味を調査
国内でマヌルネコを飼育している動物園5施設の公式サイトから、マヌルネコの名前の意味を解説している部分を引用してご紹介します。
※国内でマヌルネコを飼育している動物園は7か所ありますが、那須どうぶつ王国・神戸市立王子動物園の公式サイトにはマヌルネコの名前の解説は見当たりませんでした
「マヌル」という名前はモンゴルの言葉で「小型のヤマネコ」の意味があります。
マヌルネコ| 旭川市 旭山動物園
マヌルとは、モンゴル語で「小さいヤマネコ」という意味です。
マヌルネコ | 埼玉県こども動物自然公園 | 公益財団法人埼玉県公園緑地協会
マヌルとはモンゴル語で小さい野生ネコを意味します。
どうぶつ図鑑「マヌルネコ」 | 東京ズーネット
「マヌル」とはモンゴル語で「小さいヤマネコ」を意味する。
マヌルネコ|動物園の仲間たち|東山動植物園
マヌルとは、モンゴル語で「小さいヤマネコ」という意味。
マヌルネコ | 神戸どうぶつ王国
「モンゴル語」「小さい」「野生(ヤマ)」「ネコ」と、どの動物園の情報も共通していますね。動物園の解説ページからは、「マヌル」がモンゴル語で「小さいヤマネコ」を指す言葉なのだということが分かりました!
韓国グルメの「マヌルパン」とは関係ない
韓国グルメに「マヌルパン」という、クリームチーズとガーリックバターをたっぷり使ったパンがありますが、この「マヌル(마늘)」は韓国語で「にんにく」を意味する単語です。マヌルネコの「マヌル」とは関係がありません。
*参考:마늘の意味:ニンニク 韓国語 Kpedia
《検証》Google翻訳で「小さいヤマネコ」をモンゴル語に!
実際にマヌルネコを飼育している動物園が「マヌル=小さいヤマネコ」というなら、その通りなのだろうと思います。
でも「小さいヤマネコ」を「マヌル」のたった3つの音で表せるって、モンゴル語のコスパ良すぎませんか…?!
私はけっこう疑り深い人間なので、「マヌル」が本当に「小さいヤマネコ」を表すモンゴル語なのか、Google翻訳の力を借りてもう少し詳しく調べてみたいと思います。
《結果》「小さいヤマネコ」のモンゴル語は「マヌル」じゃない!
Google翻訳の日本語⇔モンゴル語変換機能を使って、「小さいヤマネコ」をモンゴル語に変換してみました。果たして一発で「マヌル」が出るのでしょうか!
なんと、「小さいヤマネコ」のモンゴル語翻訳の結果は、「жижиг зэрлэг муур」(読み:jijig zerleg muur/ジジグ ゼーレグ ムール)」でした。
全くマヌルじゃないうえに長い…。(ちなみにモンゴル語はロシア語などと同じ「キリル文字」を使います)
さらに翻訳結果に出てきた3つの単語「жижиг」「зэрлэг」「муур」を別々に日本語に再翻訳すると、
- жижиг(jijig)=小さな
- зэрлэг(zerleg)=野生
- муур(muur)=猫
となりました。なんともそのまんまですね。
次に「マヌル」をモンゴル語変換してみると…
マヌル出ました!日本語の「マヌル」がそのままモンゴル語の「Манул」(読み:Manul/マヌル)になりました。
またモンゴル語の「Манул(マヌル)」を日本語に再変換してみましたが、結果は変わらず「マヌル」となりました。
以上の情報からは、Google翻訳からは「マヌル」が「小さいヤマネコ」を意味するモンゴル語の言葉であるという確証を得ることはできませんでした。
*参考:Google翻訳(小さいヤマネコ)
*参考:Google翻訳(マヌル)
《考察》翻訳の過程で「マヌル」=「小さいヤマネコ」になった?
※あくまでも個人的な見解であり、動物園の解説や他サイトの説明等を批判・否定する意図はありません。
Google翻訳の結果を踏まえると、「マヌル」=「小さいヤマネコ」を意味するモンゴル語というのは、少しニュアンスが違うような気がしました。
私はモンゴル語の「Манул(マヌル)」も「マヌルネコそのもの」を指す言葉なのではないかと思います。
なぜ「Манул(マヌル)」=「小さいヤマネコ」という説明が多いのかは、モンゴル語から日本語への翻訳の過程を考えると想像がつきます。
例えば日本語の「スズメ」という鳥の名前を英語圏の人に説明するとしたら、「スズメ」という単語そのものは使えないので、「日本にいる小さい野鳥だよ(Japanese small wild bird)」のような説明になると思います。
(スズメは英語でsparrowですが、ここではその単語は存在しないものとします)
すると、それを聞いた英語圏の人は、「『スズメ』という単語は、日本語で『小さい野鳥』という意味なんだ!」と解釈するかもしれません。
マヌルネコについても同じことが起こったのではないかと私は推測しています。
動物の専門家は語学の専門家であるとは限らないので、モンゴル語のような日本に学習者の少ない言語の場合は、一度モンゴル語から英語に翻訳された情報を参照することが考えられます。
英語で「『マヌル』とはモンゴルの『小さいヤマネコ』である」などと書かれていたら、「その”単語”の意味だ」と解釈してもおかしくないでしょう。
現時点では私の想像でしかないため、また何か分かったら追記したいと思います!
学名・別名の意味や由来も調査!
「“マヌル”とはなんなのか問題」が解決したのか、謎が深まったのか若干怪しくなってしまいましたが、気を取り直してマヌルネコの別称についても調べていきたいと思います。
「Otocolobus manul」(学名)、「モウコヤマネコ」(別名)などがありますが、それぞれどのような由来があるのでしょうか?
学名の「Otocolobus」はラテン語由来
マヌルネコの学名は「Otocolobus manul」(読み:オトコロブスマヌル)といいます。学名は基本的にはラテン語の単語を使って、「属名+種名」で表されます。
マヌルネコの場合は、「Otocolobus(属名)」+「manul(種名)」ですが、属名の「Otocolobus」にはラテン語で「耳が短い」という意味があるそうです。
*参考:学名について
*参考:マヌルネコ – Wikipedia
別名「モウコヤマネコ」はそのままの意味
「モウコ」は「蒙古」、つまり「モンゴル」のことです。別名の「モウコヤマネコ」はそのまま「モンゴルのヤマネコ」ということですね。
英名が分かったところで…本物のマヌルネコを見に行こう♪
マヌルネコに詳しくなってくると、本物に会いたくなってきますよね!
日本でマヌルネコがいる動物園は全部で7か所!
各動物園の特徴や見どころについては、こちらの記事でまとめています。