和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで、たくさんの人々に愛されてきたジャイアントパンダの「良浜(らうひん)」。
2025年4月24日、良浜を含むパンダファミリー全員が同年6月末ごろに中国へ返還されるという発表がありました。
長年愛されてきたパンダファミリーの突然のニュースに、驚きと寂しさを感じている方も多いのではないでしょうか。
2000年にアドベンチャーワールドで生まれ、約25年間、ずっと白浜から私たちに笑顔と感動を届けてくれた良浜。
この記事では、そんな良浜への「ありがとう」の気持ちをたくさんこめて、プロフィールや魅力をまとめていきたいと思います!
- 良浜のプロフィール
- 「10頭のお母さん」になった良浜の子育てヒストリー
- 良浜の子どもたちのプロフィール
- 良浜のかわいい仕草や面白エピソード
- 返還に関する最新情報
アドベンチャーワールド「良浜(らうひん)」のプロフィール
まずは、良浜がどんなパンダなのか、基本的な情報から振り返りましょう。
2000年9月6日に和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで誕生した良浜は、アドベンチャーワールドで生まれた初めてのパンダです。
誕生してから約25年間変わらず白浜で暮らし続け、これまでに10頭もの赤ちゃんを生み育ててきました。
名前(よみ): | 良浜(らうひん) |
性別: | メス |
誕生日: | 2000年9月6日 |
年齢: | 24歳 ※2025年5月現在 |
出生地: | アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町) |
父: | 哈蘭(ハーラン) |
母: | 梅梅(めいめい) |
パートナー: | 永明(えいめい)※2025年1月に永眠 |
出生時体重: | 195g |
現在の体重: | 113kg ※2025年4月現在 |
特徴: | ・日本で生まれ育ち日本で母親になった唯一のパンダ ・国内最多!10頭の子どもの母でとっても愛情深く子育て上手 ・鼻が低く丸い顔立ちの美人パンダ ・食いしん坊 |
*参考:子だくさんで愛情たっぷりの母パンダ「良浜」 遊ぶのが大好きで小麦色の毛並み、「ラウゴン」なんてあだ名も|まいどなニュース
「園初の赤ちゃんパンダ」から「日本一のお母さんパンダ」になるまでの軌跡
良浜のパンダ人生は、まさにアドベンチャーワールドのパンダの歴史そのもの。
その歩みを振り返ってみましょう。
- 2000年「アドベンチャーワールド初の赤ちゃん」として誕生
「天性の『良』さを保ち続けてほしい」という願いと、白浜の「浜」から「良浜」と命名。
- 2008年初めての出産(梅浜・永浜)
- 2010年2回目の出産(海浜・陽浜)
- 2012年3回目の出産(優浜)
- 2014年4回目の出産(桜浜・桃浜)
- 2016年5回目の出産(結浜)
- 2018年6回目の出産(彩浜)
- 2020年7回目の出産(楓浜)
*参考:SMILE BIRTH PROJECT 〜命のバトンを、希望のバトンへ。〜 本日生後1か月を迎えたジャイアントパンダの赤ちゃんの名前を募集いたします 2020年12月24日(木)〜2021年2月23日(火)|トピックス|アドベンチャーワールド
*参考:いきなり“お母さん”にはなれない!?10頭のお母さんパンダ・良浜の初産で飼育スタッフが祈った「お願い!舐めて!」【独占取材】|Fandomplus(ファンダムプラス)
アドベンチャーワールド待望の赤ちゃんパンダとして誕生!
アドベンチャーワールドは1994年からジャイアントパンダの飼育に取り組んできました。
最初に中国からやってきたのは、オスの「永明(えいめい)」とメスの「蓉浜(ようひん)」です。
ペアでの繁殖が期待されましたが、残念ながら蓉浜は1997年に亡くなってしまいました。
一人になった永明の新しいパートナーとして、2000年7月に中国からやってきたのが良浜のお母さんの「梅梅(めいめい)」。
実は梅梅は来園時にはすでに妊娠しており、お腹には良浜がいたのです。
こうして良浜はアドベンチャーワールド生まれの初のパンダとして2000年9月6日に誕生しました。
子どものときの良浜はとてもやんちゃな性格で、タイヤ遊びやボール遊びが大好きだったそうです。
7回の出産、10頭の子育てをした「日本一のお母さんパンダ」に
お母さんの梅梅や飼育員さんたちの愛情をたっぷり受けてすくすくと育った良浜は、やがて自身もお母さんパンダとしての道を歩み始めます。
梅梅のパートナーでもあった永明との間に、7回の出産で合計10頭の子どもたちを生み、愛情深く育て上げました。
日本で生まれたパンダが日本でお母さんになったのは、50年以上におよぶ日本のパンダ飼育の歴史のなかでも良浜だけです。
また、7回・10頭の出産はいずれも国内最多。まちがいなく「日本一のお母さんパンダ」です。
*参考:ジャイアントパンダ|動物の紹介|アドベンチャーワールド
個性豊かな良浜の子どもたち
良浜がたっぷりの愛情を注いで育てた10頭の子どもたちは、それぞれがユニークな個性と魅力を持っています。
子どもたちの多くはすでに中国へと返還されましたが、その愛らしい姿はYouTubeなどの動画で今も見ることができます。
ここでは、良浜の子どもたち全員について、パンダファンの皆さんがアップした動画やSNS投稿をお借りしながら紹介します!
梅浜(めいひん)&永浜(えいひん)
2008年9月13日生まれの双子。(2013年2月に中国に返還。)
メスの梅浜とオスの永浜は、良浜にとって初めての赤ちゃんです。
梅浜は良浜そっくりの丸顔、永浜は永明に鼻が似ているんだとか。
動画は、すでに良浜のもとを離れて二人で暮らしている時期のものですが、仲良くタケノコを食べる姿がかわいいです!
海浜(かいひん)&陽浜(ようひん)
2010年8月11日生まれの双子。(2017年6月に中国に返還)
オスの海浜とメスの陽浜は、良浜の2回目の出産で誕生しました。
2回連続の双子誕生は珍しいことのように思えますが、パンダが双子を生む確率は45%ほどで人間よりもずっと高いんです。
子育て2回目の余裕でしょうか、双子たち(主に海浜)をものともせずに竹を食べ続ける良浜なのでした。
*参考:個体紹介|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
*参考:世界で初めての飼育下双子同時育成|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
優浜(ゆうひん)
2012年8月10日生まれ。(2017年6月に中国に返還)
良浜の3回目の出産で生まれたのはメスの優浜。
動画では小さな優浜(撮影当時は生後半年ほど)と良浜が仲良く遊んでいます。
優浜よりも楽しんでいるのでは?と思えるくらい無邪気に遊んでいる良浜がかわいすぎて、胸がいっぱいになりました。(勢い余って2つも動画を載せさせていただきました。)
桜浜(おうひん)&桃浜(とうひん)
2014年12月2日生まれ。(2023年2月に中国に返還)
4度目の出産では再び双子が誕生しました。
今回はどちらも女の子、桜浜と桃浜です。個人的には浜家のなかでも一番好きなお名前かもしれません。
動画は、生後約1カ月の桜浜と桃浜を大切そうに抱っこする良浜ママです。
双子のパンダは「入れ替え方式」で1頭ずつ授乳するので、2頭とも抱っこしているシーンはとても貴重だと思いました!
*参考:個体紹介|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
*参考:世界で初めての飼育下双子同時育成|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
結浜(ゆいひん)
2016年9月18日生まれ。(2025年6月に中国に返還予定)
良浜5回目の出産で誕生したメスの結浜は、2025年5月現在もアドベンチャーワールドで暮らしています。
何度子育てをしても変わらない良浜の愛情をたっぷり受けてすくすくと成長した結浜は、頭のてっぺんの毛がピコン!ととんがっているところや、ファンを驚かせる予測不能な行動で大人気に。
SNSでは「#結浜クセつよ」などのハッシュタグとともに、しばしば個性的な姿がたくさん投稿されています。
*参考:個体紹介|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
*参考:「頭てっぺんのとんがり」がチャームポイント、愛情たっぷりに育てられた結浜(ゆいひん)の「愛くるしすぎる寝相」
彩浜(さいひん)
2018年8月14日生まれ。(2025年6月に中国に返還予定)
良浜の9番目の子ども彩浜は、アドベンチャーワールドの歴代パンダで最も小さい75gで誕生しました。
パンダの赤ちゃんは通常100~200g程度で生まれ、100g未満だと死亡率が高いといわれています。
彩浜も生まれてすぐは自力で母乳を吸うことができませんでしたが、スタッフさんの懸命なサポートと良浜の愛情を受けて無事に成長することができました。
今では体重は100kgを超え、ファンから「社長」と呼ばれるほどの貫禄も。小さく生まれたことを全く感じさせない立派な大人パンダです。
*参考:個体紹介|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
*参考:わずか75gの超々未熟児から「社長」に昇格したパンダって?
*参考:低体重児の育成成功例|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
楓浜(ふうひん)
2020年11月22日生まれ。(2025年6月に中国に返還予定)
良浜7回目の出産で生まれたのが、浜家の末っ子の楓浜(メス)です。
楓浜が生まれた2020年当時、良浜はすでに20歳(人間で言うと60歳くらい)を越えていましたが、年齢をものともせずに楓浜を育て上げました。
楓浜も結浜と同じように頭にとんがりがあるのが特徴で、「ピコン姉妹」などと呼ばれて愛されています。
*参考:個体紹介|ジャイアントパンダ日中共同繁殖研究サイト
*参考:日本パンダ界の“ビッグママ”良浜と子どもたち「浜家ファミリー」7頭の個性あふれる素顔に迫る!【飼育スタッフ解説付き】|kufura(クフラ)小学館公式
良浜のかわいいところ&面白エピソード集
愛情深いお母さんパンダとしての一面だけでなく、良浜にはお茶目でチャーミングな魅力もいっぱいです。
ここでは良浜自身の性格や特徴に焦点を当てて、良浜の魅力がよく分かるエピソードや動画を紹介していきたいと思います!
他のパンダと比べて、なんだか茶色?
パンダのトレードマークである「コントラストの効いた白黒模様」を想像して良浜を見てみると…。
白黒というより「茶黒」では?というくらい白い部分が茶色っぽいのが分かるのではないでしょうか?
元々の毛の色が茶色いのではなく、汚れなどで茶色く見えるらしいです。
飼育員さんいわく「よく遊んでよく食べるからではないか」(参考記事より)とのこと。
観察する際には、子どもたちと良浜の色の違いに注目ですね!
*参考:子だくさんで愛情たっぷりの母パンダ「良浜」 遊ぶのが大好きで小麦色の毛並み、「ラウゴン」なんてあだ名も|まいどなニュース
竹が大好き♪とっても食いしん坊
「食いしん坊」「竹が大好き」「どんな竹もおいしく食べてくれる」と飼育員さんからも太鼓判を押されるほど、良浜は食べることが大好き。
座りながら、寝っ転がりながら、色々な姿勢で食べまくり、子どもパンダがぶつかってきてもお構いなしに食べ続けることも。
時が止まる?!名物「良浜フリーズ」
良浜のユニークな行動の一つが、突然ピタッと動きを止める「フリーズ」。
何の前触れもなく、まるで時が止まったかのように、じーっと動かなくなります。
数分間に及ぶこともあり、見ているほうはドキドキ。
この予測不能な「フリーズ」も、ファンの間で親しまれています。
最新情報:良浜たちの中国への帰国について【2025年6月】
2025年4月、アドベンチャーワールドから、良浜、結浜、彩浜、楓浜の4頭が、中国へ帰国することが発表されました。
なぜ良浜たちは中国に帰るのでしょうか? 主な理由は二つです。
一つは「ジャイアントパンダ保護研究協力に関する協定」に基づくものです。
協定では、パンダの所有権は中国にあり、生まれた子どもたちも一定の年齢になると繁殖のため中国へ帰るルールになっています。
もう一つは、良浜の健康への配慮です。
24歳(人間で言うと70歳以上)と高齢期に入った良浜が、今後も元気に穏やかに暮らせるよう、パンダの飼育・医療体制が非常に整っている中国で過ごすことが最善だと判断されたそうです。
帰国の時期は、「2025年6月末ごろまで」と発表されています。(※具体的な日程は今後発表される見込みです)
*参考:ジャイアントパンダ4頭はまもなく中国成都に帰国します「 良浜(らうひん)」「 結浜(ゆいひん)」「 彩浜(さいひん)」「 楓浜(ふうひん)」|トピックス|アドベンチャーワールド
帰国前に会いたい方へ|アドベンチャーワールド情報
「良浜たちが帰国する前に、会いに行きたい!」と思っている方へ、アドベンチャーワールドの基本情報をまとめます。
アドベンチャーワールドは和歌山県白浜町にある、動物園・水族館・遊園地が一体になった人気のテーマパークです。
パーク内では以下の場所でパンダに会うことができます。
ただし、帰国の1カ月前くらいから検疫のためにガラス越しの展示になる予定とのことなので、上記は近日中に変更になる可能性があります。
また、パンダたちの帰国まではパーク内の混雑が予想されます。
待ち時間が発生する場合もあるようなので、時間や気持ちに余裕を持って会いに行くようにしましょう。
*参考:アドベンチャーワールド公式サイト
ありがとう良浜、これからも元気でね
良浜への25年間の感謝の気持ちを込めて、魅力やすごいところを余すところなくお伝えしたい!と思って記事を書いてきましたが、伝わりましたでしょうか?
この記事を書くなかで、お借りした多くの動画やSNS投稿などを通じて、良浜を愛して見守ってきたたくさんの方の存在を改めて感じました。
私自身も良浜のことが大好きな一人として、良浜が帰国してからも元気で、穏やかに暮らしてくれることを心から願っています。
- 良浜はアドベンチャーワールドで初めて生まれたパンダ。
- 永明との間に個性豊かな10頭の子を生んだ「日本一のお母さんパンダ」。
- 茶色い見た目や食いしん坊な性格、突然の「フリーズ」など、お茶目でかわいいところがいっぱい。
- 2025年6月末ごろまでに、娘たちと一緒に帰国予定。
良浜、たくさんの感動と笑顔を本当にありがとう。
日本での日々が良浜にとって幸せな思い出でありますように。
中国へ帰っても、たくさん食べて、ずっとずっと元気に暮らしてね!