ジャイアントパンダは、1990年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されました。
ですが、その後の保護活動によって絶滅危惧種の指定が解除され、絶滅危惧レベルが緩和されています。
この記事では、ジャイアントパンダの最新の保全状況、絶滅危惧レベルが変更された理由について詳しく解説するとともに、パンダを取り巻く今後の課題についても掘り下げていきます。
パンダは本当に絶滅危惧種ではなくなった?

まず、ジャイアントパンダの絶滅危惧種指定に関する正確な情報を見ていきましょう。
パンダは①生息地の減少・分断、②竹の枯死による食糧不足、③毛皮を目的とした密猟、④繁殖力の低さなどの様々な理由で生息数を減らし、「絶滅のおそれがある」として1990年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されました。
また、ジャイアントパンダの生息地である中国の独自評価でも絶滅危惧種に指定され、国家を挙げて保護・保全活動が続けられてきました。
こうした取り組みが実を結び、現在パンダは絶滅危惧種ではなくなっています。
最新の情報を詳しく見ていきましょう。
国際自然保護連合(IUCN)レッドリストでの絶滅危惧種「解除」
2016年、国際自然保護連合(IUCN) は、ジャイアントパンダの絶滅危惧レベルを「絶滅危惧種(Endangered=EN)」から「危急種(Vulnerable=VU)」に引き下げました。
これは、1980年代から2014年頃までに行われた中国政府による保護活動の成果を評価し、野生のジャイアントパンダの個体数が増加傾向にあり、生息地も回復していることが確認できたためです。
「危急種(Vulnerable)」とは、絶滅の危険が増大している種を指します。絶滅危惧種(Endangered)よりは危険度が低いものの、引き続き保護が必要な状態です。
*参考:IUCN Red List of Threatened Species
中国国内での絶滅危惧種「解除」
2016年に国際自然保護連合(IUCN)がジャイアントパンダの絶滅危惧レベルを引き下げた後も、中国側は慎重な姿勢を取り、独自の絶滅危惧種指定を続けてきました。
しかし2021年には、中国生物多様性レッドリストでも、ジャイアントパンダの評価が「危急種」に引き下げられました。
長年にわたり、保護区の設置、野生復帰プログラム、飼育下での繁殖の成功など、さまざまな保護活動に取り組んできたことの成果が表れたとして、このような評価変更を行ったのです。
*参考:パンダ、脱「絶滅危惧」 個体数倍増でもぬぐえぬ不安 – 日本経済新聞
「絶滅危惧種解除」という表現の注意点
個人的には「絶滅危惧種解除」という言葉は、誤解を招きやすい表現ではないかと感じています。
ジャイアントパンダの絶滅の危険が完全になくなったわけではないからです。
パンダの絶滅危惧レベルは、依然として「危急種(Vulnerable=VU)」に設定されていますし、今後の状況次第では、再び個体数が減少する可能性もあります。
したがって、「絶滅危惧種指定が解除されたから安心」ではなく、継続的な保護活動が重要であることを私たち一人ひとりが認識することが必要です。
パンダの絶滅危惧種「解除」の理由は?~保護活動の成果~

ジャイアントパンダの絶滅危惧レベルが引き下げられた背景には、中国政府と国際的な保護団体による長年の努力があります。
それぞれどのような取り組みなのか具体的に見ていきましょう。
中国政府による長年の保護活動
中国政府は、1960年代から以下のようなジャイアントパンダ保護活動に力を入れてきました。
このような取り組みによってパンダの個体数が増加し、絶滅危惧レベルの引き下げにつながったのです。
*参考:飼育されているパンダの数が世界で757頭に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
国際的な協力体制
中国政府だけでなく、国際的な保護団体や世界各国の動物園・研究機関等も協力し合って、パンダの保護活動に取り組んでいます。
生息地の回復と個体数増加
長年の保護活動の成果が芽生え、ジャイアントパンダの個体数は徐々に回復しています。
直近の調査では、野生のジャイアントパンダの個体数は1,864頭と推定されており、増加傾向にあることが確認されています。

調査年 | 1977年 | 1988年 | 2003年 | 2014年 |
生息数 | 2,459頭 | 1,144頭 | 約1,600頭 | 1,864頭 |
*参考:「パンダを野生に」中国で一大プロジェクト 生き抜く訓練に1頭あたり年2200万円 絶滅危機から個体数は回復:東京新聞デジタル
*調査年については、上野動物園園内の立て看板「野生での生息状況は?」も参考にしています
*参考:飼育されているパンダの数が世界で757頭に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
パンダの未来は安泰?~今後の課題と私たちにできること~

ジャイアントパンダの絶滅危惧レベルは引き下げられましたが、完全に危機が去ったわけではありません。
ここからはパンダを取り巻く今後の課題や、パンダのために私たちにできることについて考えていきましょう。
パンダを取り巻く今後の課題
パンダの保全状況をより一層改善し、生息状況を安定させていくためには、次のような課題に取り組む必要があります。
パンダのために私たちにできること
「生息地の拡大」「気候変動への対応」などの文字を見ると、壮大すぎて私たちにできることがないように感じてしまいますが、そんなことはありません。
私たち一人一人がパンダやパンダが暮らす場所を守るためにできることはたくさんあります。
まとめ:パンダの未来のために、保護活動への理解と協力を
ジャイアントパンダの生息数の減少が深刻化し、一時は絶滅危惧種に指定されました。
ですが、長年の保護活動により、絶滅危惧レベルが引き下げられました。
絶滅危惧レベルは引き下げられても、それは保護活動の終わりを意味するものではありません。
むしろ、これまでの成果を維持し、さらに発展させるために、私たち一人ひとりがパンダの現状を正しく理解し、保護活動に協力していくことが重要です。