パンダの生息地はどこ?中国の6つの山系・標高・気候の特徴まとめ

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野生のジャイアントパンダの生息地は、中国の四川省(しせんしょう)・陝西省(せんせいしょう)・甘粛省(かんしゅくしょう)にまたがる、標高約1,300〜3,500メートルの山岳地帯の森林です。

世界中を見ても、野生のパンダがいるのはこの地域以外ありません。

この記事では、パンダが暮らす6つの山系や標高・気候などの環境の特徴を詳しく解説します。

さらに、季節によって住む場所を変える習性や、同じ森で暮らすほかの動物たち、生息地が減っている理由と保護の取り組み、野生のパンダの生息数の変化まで、まとめて紹介します!

もくじ

パンダの生息地はどこ?中国の3省・6つの山系

野生のジャイアントパンダの生息地は、中国の四川省・陝西省・甘粛省の山岳地帯だけ。

野生のジャイアントパンダが暮らしているのは、中国の中部から南西部の山岳地帯です。

四川盆地を囲むようにそびえる山々の、標高約1,300〜3,500メートルの森林がパンダのすみかになっています。

中国大使館が発表した全国調査の結果では、生息地について次のように紹介されています。

野生パンダは秦嶺山系、岷山山系、キョウ(功のつくりをおおざとに)ライ(山+来)山系、大相嶺山系、小相嶺山系、凉山山系の6大山系に生息し、これらの生息地は四川省、陝西省、甘粛省の3省17市・自治州、49県・市・区、196郷鎮に及んでいる。

中国の野生パンダ生息数も生息地面積も増加 第4回全国調査で判明|中華人民共和国駐日本国大使館

省ごとに見ると、野生のパンダの約4分の3が四川省で暮らしています。

四川省1,387頭
陝西省345頭
甘粛省132頭
合計1,864頭
※第4回全国調査(2015年発表)の結果

また、同じ調査のなかで、ジャイアントパンダの生息地の総面積は約258万ヘクタールと発表されています。

パンダが暮らす6つの山系の特徴

パンダの生息地は、ひとつながりの広い森ではなく、6つの山系に分かれて点在しています。

それぞれの山系には、次のような特徴があります。

山系主な省特徴
岷山(みんざん)四川省・甘粛省最も多くのパンダが暮らす、最大の生息地
邛崍山(きょうらいさん)四川省臥龍(がりゅう)自然保護区があり、パンダの保護・研究の中心地
秦嶺(しんれい)陝西省最も北にある生息地。茶色っぽい毛のパンダが見つかっている
涼山(りょうざん)四川省最も南にある生息地
大相嶺(だいそうれい)四川省規模の小さい生息地
小相嶺(しょうそうれい)四川省最も小さい生息地のひとつ

なかでも岷山と邛崍山には多くのパンダが暮らしていて、野生のパンダの大部分がこの2つの山系に集中しています。

一方、大相嶺は38頭、小相嶺は30頭と生息数が少なく、周りの生息地からの孤立が課題になっています。

最も北にある秦嶺山脈では、白黒ではなく茶色と白の毛をしたパンダが見つかっています。

秦嶺のパンダは、ほかの山系のパンダに比べて頭が小さめで丸みのある顔つきをしていて、2005年には「秦嶺亜種(チンリンパンダ)」として正式に区別されるようになりました。

茶色のパンダは、これまでに10頭ほどしか確認されていない非常に珍しい存在です。

パンダの生息地はどんなところ?気候・環境の特徴

パンダの生息地である中国の山岳地帯は、温帯と亜熱帯の気候をあわせ持つ地域です。

標高が高いため夏でも涼しく、雨や霧が多いじめじめとした気候で、多様な植物が育っています。

森には針葉樹と広葉樹が混ざり合って生えていて、その下にパンダの主食である竹がびっしりと茂っています。

パンダの生息地の特徴は、以下のとおりです。

  • 標高約1,300〜3,500メートルの山岳地帯…人の手が届きにくい、けわしい山の森。
  • 冷涼な気温…夏は涼しく、冬は雪が積もるほど寒い。暑さが苦手なパンダに向いている。
  • 湿潤な気候…雨や霧が多く、主食の竹がよく育つ。
  • 複数の種類の竹が生える広い森…1種類の竹が枯れても、ほかの竹を食べに移動できる。
  • 大人のパンダを襲う天敵が少ない…大型の肉食動物がほとんどいない。

パンダは1日に10〜20kg前後もの竹を食べるため、竹が一年中たっぷり手に入ることが、生息地の何よりの条件です。

また、大人のパンダを襲えるような大型の肉食動物がほとんどいないことも、パンダが生き延びるのに適した環境といえます。

ただし、子どものパンダはヒョウやドール、テンの仲間などに狙われることもあります。

季節によって住む場所の高さを変える

野生のパンダは、一年中同じ場所で暮らしているわけではありません。

季節に合わせて、山の低いところや高いところを行き来しているのです。

春から初夏にかけては、低い場所から順に生えてくるタケノコを追いかけるように、少しずつ標高の高い場所へ移動していきます。

夏は涼しい高地で過ごし、秋から冬にかけて寒さが厳しくなると、雪の少ない低い場所へ下りてきます。

ちなみに、パンダはクマの仲間ですが、冬眠をしません。

主食の竹が冬でも手に入ることと、栄養の少ない竹が主食のため冬眠に必要な脂肪を体にたっぷり蓄えにくいことが理由だと考えられています。

そのぶん、冬も食べ物を確保できる広い森が欠かせないのです。

野生のパンダの食べ物や1日の過ごし方、子育て、寿命など、暮らしぶりについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

パンダと同じ森に暮らす動物たち

パンダが暮らす中国の山の森は、多くの珍しい動物たちのすみかでもあります。

パンダと同じ森では、次のような動物が暮らしています。

キンシコウ金色の毛と青い顔が特徴のサル。寒い山の森で群れで暮らす
ターキンウシとヤギの中間のような姿をした大型の草食動物
レッサーパンダ竹を主食とする小型の動物。同じ「パンダ」だが分類上は別の生き物
ヒョウ森にすむ大型のネコ科動物。子どものパンダを狙うこともある

パンダの生息地を守ることは、こうした動物たちのすみかを守ることにもつながります。

パンダのように、その動物を守ることで同じ地域のたくさんの生き物も守られる動物は「アンブレラ種」と呼ばれています。

パンダはなぜ中国だけに生息しているの?

ここまで見てきたように、野生のパンダがいるのは中国の山地だけです。

その理由は大きく次の3つが考えられます。

  • 進化の過程で竹に特化し、山地に適応した
  • 人間の開発で生息地が縮小・分断された
  • 今の生息地以外に条件を満たす場所がない

実は、昔のパンダの祖先はミャンマーやベトナムなど、中国以外の地域にも暮らしていましたが、長い年月をかけて現在の生息地に落ち着いたと考えられています。

パンダの生息地の減少・分断が問題になっている

パンダが暮らせる場所は、もともと限られています。

そのうえで近年大きな課題になっているのが、生息地の「減少」と「分断」です。

ここでは、パンダの生息地が減ってしまった理由、生息地が分断されることで起きる問題、そして生息地を守るために中国で進められている取り組みを順番に紹介します。

あわせて、生息地の変化によって野生のパンダの数がどう移り変わってきたのかも見ていきましょう。

生息地が減少した理由

パンダの生息地が減った最大の原因は、人間による開発です。

主な要因として、次のようなものが挙げられます。

  • 人口の増加…中国の人口が増えるにつれて、低い山や平地の森が農地や住宅地に変わっていった。
  • 森林の伐採…木材をとるために、パンダが暮らす森が大規模に切り開かれた。
  • 鉱物資源の開発…秦嶺山脈などでは、金などの鉱物資源を採掘するための開発が進んだ。

こうした開発によって、パンダは人の手が届きにくい標高の高い山奥へと追いやられていきました。

今のパンダの生息地がけわしい山岳地帯に限られているのは、人間の生活圏から逃れてきた結果だともいえます。

また、人間による開発とは別に、竹の一斉開花という自然の脅威もあります。

竹は数十年から100年以上に一度、一斉に花を咲かせたあと枯れてしまいます。

1970〜80年代には岷山や邛崍山で竹の一斉開花が起き、食べ物を失った多くのパンダが餓死したといわれています。

森が狭くなるほど、別の種類の竹を探して移動することも難しくなってしまいます。

生息地の分断とその影響

生息地の面積が減るだけでなく、生息地がバラバラに分かれてしまう「分断」も深刻な問題です。

森の中に道路が通ったり、農地や集落ができたりすると、パンダは森と森のあいだを行き来できなくなってしまいます。

第4回全国調査では、野生のパンダは33の集団に分かれて暮らしていることが分かりました。

そのうち18の集団は10頭に満たず、こうした小さな集団は絶滅の危険がとても高いとされています。

竹が枯れたときに別の森へ逃げることもできないため、生息地の分断は生息数の減少につながりやすいのです。

生息地を守るための取り組み

パンダの生息地を守るため、中国では1960年代から自然保護区の設置が進められてきました。

1963年に設立された臥龍(がりゅう)自然保護区をはじめ、第4回全国調査の時点で、パンダが暮らす保護区は67か所にのぼります。

分断された森と森をつなぐ「緑の回廊」づくりも進められています。

これは、道路などで分かれてしまった生息地のあいだに木を植えたり、動物が通れる道を整えたりして、パンダがふたたび行き来できるようにする取り組みです。

2021年10月には、四川省・陝西省・甘粛省にまたがる面積約2.2万km²の「ジャイアントパンダ国家公園」が正式に設立されました。

これまで別々に管理されていた保護区をまとめ、生息地をひとつながりで守っていくことを目指しています。

さらに、飼育下で生まれたパンダに野生で生きる訓練をして、自然に帰す取り組みも行われています。

小さく孤立した集団に新しい仲間を加えることで、集団を立て直すねらいがあります。

パンダの生息数の変化

野生のジャイアントパンダの生息数の推移(グラフ)

野生のジャイアントパンダの生息数は、第4回全国調査で1,864頭、最近の中国政府の発表では1,900頭近くとされています。

中国政府による全国調査の結果は次のとおりです。

第1回(1974〜1977年)2,459頭
第2回(1985〜1988年)1,114頭
第3回(1999〜2003年)1,596頭
第4回(2011〜2014年)1,864頭
※中国政府による全国調査の結果(第4回調査の結果は2015年に発表)

1970年代には約2,500頭いた野生のパンダは、生息地の破壊や密猟、竹の一斉開花が重なり、わずか10年ほどで半分以下に減ってしまいました。

その後、保護区の整備や保護・繁殖研究に国を挙げて取り組んだことで、生息数は回復傾向にあります。

野生のパンダの生息地を見に行くことはできる?

「野生のパンダを一度見てみたい!」と思う人もいるかもしれません。

ですが、野生のパンダを自分の目で見るのは、ほぼ不可能といっていいほど難しいことです。

パンダはけわしい山奥の深い竹林で、基本的に単独で暮らしています。

警戒心も強く、長年パンダを調査している研究者でも、野生の姿に出会えることはめったにありません。

また、保護区の中心部は立ち入りが制限されていて、一般の人が自由に入ることはできません。

そのかわり、中国には成都や臥龍などにジャイアントパンダ保護研究センター(パンダ基地)があり、生息地に近い環境で暮らすたくさんのパンダが一般にも公開されています。

まとめ

野生のジャイアントパンダの生息地について解説しました。

パンダが暮らしているのは、中国の四川省・陝西省・甘粛省にまたがる標高約1,300〜3,500メートルの山岳地帯の森林で、岷山や邛崍山など6つの山系に分かれています。

生息地は、夏は涼しく雨や霧が多い、竹がよく育つ冷涼で湿潤な環境です。

パンダは季節に合わせて山の高いところと低いところを行き来しながら、キンシコウやターキンなどの動物たちと同じ森で暮らしています。

生息地の減少・分断が進み、野生のパンダは一時期大きく数を減らしました。

保護区や国家公園の整備によって、現在は1,900頭近くまで回復していますが、小さく孤立した集団をどうつないでいくかが今後の課題です。

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この記事を書いた人

大好きなパンダとマヌルネコについて日々学び続ける勉強熱心なパンダです。私と同じように動物好き、動物園好きな方の役に立つ情報を発信したいと思い、このサイトを立ち上げました!

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