野生のジャイアントパンダの生息数は1,864頭(中国政府の第4回全国調査による)です。
その後もパンダの生息数は増加傾向で、中国政府は近年「野生のパンダは1,900頭近くまで増えた」と発表しています。
ですが、ここまでの道のりは簡単なものではありませんでした。
1970年代に約2,500頭いた野生のパンダは、わずか10年ほどで半分以下に激減し、絶滅危惧種に指定されるほど切迫した状況だったのです。
この記事では、野生のパンダの最新の生息数と、1970年代からの推移をグラフで確認しながら、パンダの保護活動の軌跡をたどっていきます。
野生のパンダの生息数は何頭?【2026年最新】
野生のジャイアントパンダの数は、中国政府がおよそ10年ごとに行う全国調査で数えられています。
現在公表されている最新の調査結果は、2015年に発表された第4回全国調査の1,864頭(2013年末時点)です。
その後、正式な全国調査の結果は発表されていませんが、中国政府は2024年以降の発表で、野生のパンダは「1,900頭近く」まで増えていると説明しています。
最新のデータをまとめると、次のとおりです。
| 野生(全国調査の結果) | 1,864頭(第4回全国調査・2013年末時点、2015年発表) |
|---|---|
| 野生(政府発表の概数) | 1,900頭近く(2024〜2025年の発表) |
| 飼育下(世界全体) | 808頭(2025年11月発表) |
なお、次の第5回全国調査の結果は、2026年9月時点ではまだ発表されていません。
【参考】飼育下のパンダの数
野生のパンダとは別に、動物園や保護研究センターなどで飼育されているパンダの数は、2025年11月の発表で808頭でした。
2023年末の728頭、2024年末の757頭から毎年大きく増えていて、第4回全国調査のころ(375頭)と比べると2倍以上になっています。
飼育下のパンダのほとんどは中国国内で暮らしていますが、中国以外にも17か国・19施設に48頭のパンダがいます。
ただし、この17か国に現在日本は含まれていません。
アドベンチャーワールドは2025年6月に、上野動物園は2026年1月に、それぞれパンダを中国へ返還し、日本にいるパンダは0頭になりました。

野生のジャイアントパンダの生息数の推移
こちらは、1970年代から2010年代にかけて、野生のジャイアントパンダの生息数がどのように変わってきたかを表したグラフです(全国調査の結果をもとに作成)。

これまでに行われた4回の全国調査の結果を表にまとめると、次のようになります。
| 第1回(1974〜1977年) | 2,459頭 |
|---|---|
| 第2回(1985〜1988年) | 1,114頭 |
| 第3回(1999〜2003年) | 1,596頭 |
| 第4回(2011〜2014年) | 1,864頭 |
第1回から第2回の約10年で、生息数は2,459頭から1,114頭へと半分以下に落ち込みました。
ここが野生のパンダにとって最も危機的な時期です。
その後、第3回では1,596頭、第4回では1,864頭と、調査のたびに着実に増加しています。
第4回調査では、生息数だけでなく生息地の面積も前回より約1割増えていて、保護活動が数字となって表れた結果になりました。
省ごとの生息数
野生のパンダが生息するエリアは、中国の中でも四川省(しせんしょう)・陝西省(せんせいしょう)・甘粛省(かんしゅくしょう)の3つの省だけです。
第4回全国調査の結果を省ごとにまとめると、次のようになります。
| 四川省 | 1,387頭 |
|---|---|
| 陝西省 | 345頭 |
| 甘粛省 | 132頭 |
| 合計 | 1,864頭 |
これを見ると、野生のパンダの約4分の3が四川省にいることが分かります。
四川省の成都や臥龍(がりゅう)などにパンダの保護研究センターが集まっているのも、こうした背景があるからなのです。
第5回全国調査の結果はいつ発表される?
全国調査はこれまでおよそ10年おきに行われてきました。
第4回の調査が2011〜2014年に行われたことを考えると、第5回の調査もそろそろ結果が出てもおかしくない時期です。
ただし、2026年9月時点では、第5回全国調査の結果はまだ公表されていません。
中国政府は2024〜2025年の発表で「野生のパンダは1,900頭近く」と説明していますが、これは正式な全国調査の結果ではなく、概数としての発表です。
第5回全国調査の結果が発表されれば、野生のパンダが2,000頭を超えているかどうかにも注目が集まりそうです。
新しい数字が発表され次第、この記事でもお知らせします。
野生のパンダが暮らしている場所
野生のパンダが暮らしているのは、中国の四川省・陝西省・甘粛省にまたがる、標高約1,300〜3,500メートルの山岳地帯の森林です。
夏は涼しく、冬は雪が積もるほど寒い、主食の竹がよく育つ湿潤な地域です。
第4回全国調査では、生息地の総面積は約258万ヘクタールとされています。
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パンダの生息数が減った理由・増えた理由(保護活動の軌跡)
野生のパンダの数はなぜこのように変化してきたのでしょうか?
ここでは、1970〜80年代に生息数が激減した理由と、1990年代以降に回復した理由を順番に見ていきます。
あわせて、生息数の変化にともなって、パンダの絶滅危惧のランクがどう変わってきたのかも紹介します。
数字の裏側にある、パンダを守るための長い取り組みの歴史をたどってみましょう。
1970〜80年代:さまざまな要因が重なり生息数が激減
1970年代に約2,500頭いた野生のパンダは、その後の約10年で半分以下の約1,100頭にまで減ってしまいました。
生息数が減った背景には、次のような要因が重なっています。
- 生息地の破壊…森林伐採や農地開発によって、パンダがすむ竹林が減少した。
- 生息地の分断…道路やダムの建設で森が分断され、えさ探しや繁殖のための移動ができなくなった。
- 竹の一斉枯死による食糧難…数十年から100年以上に一度、竹が一斉に花を咲かせて枯れ、多くのパンダが食べ物を失った。
- 密猟…毛皮などを目的とした密猟が行われていた(現在は厳しく禁止されている)。
- 繁殖力の低さ…発情期が年に1回・数日と短く、一度に育てられる子どもも1頭だけなので、数が増えにくい。
こうして生息数が急速に減った結果、1990年には国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種(EN)」に指定されることになりました。
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1990年代以降:保護活動の成果で回復傾向に
中国政府や国際的な保護団体が長年続けてきた保護活動が実を結び、1990年代以降、野生のパンダの数は増加に転じました。
主な取り組みは次のとおりです。
- 自然保護区の設置…生息地に保護区を設けて、森林伐採や開発を制限。第4回全国調査の時点で67か所の保護区がある。
- 「緑の回廊」づくり…分断された生息地どうしを、竹林や森で再びつなぎ合わせる。
- ジャイアントパンダ国家公園の設立…2021年、3つの省にまたがる生息地をひとつながりで守る国家公園が正式に設立された。
- 野生復帰プログラム…飼育下で生まれたパンダに野生で生きる訓練をして、自然に帰す。
- 繁殖研究…世界各地の動物園と協力し、飼育下での繁殖技術を向上させた。
- 国際的な協力とワシントン条約…WWFなどの保護団体と連携して調査・保護を行い、ワシントン条約で国際的な商業取引も禁止されている。
特に飼育下での繁殖技術の進歩は目覚ましく、かつては難しいとされていたパンダの繁殖が安定して成功するようになりました。
飼育下のパンダは800頭を超えるまで増え、野生復帰に向けた取り組みも進められています。
こうした取り組みの積み重ねによって、野生のパンダは約1,100頭から1,900頭近くまで回復しました。
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絶滅危惧のランクの変化
生息数の回復にともなって、パンダの絶滅危惧のランクも見直されてきました。
| 年 | 評価の主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 1990年 | 国際自然保護連合(IUCN) | レッドリストで「絶滅危惧種(EN)」に指定 |
| 2016年 | 国際自然保護連合(IUCN) | 「絶滅危惧種(EN)」から「危急種(VU)」に引き下げ |
| 2021年 | 中国政府 | 中国国内での評価を「絶滅危惧種」から「危急種」に引き下げ |
ニュースなどで「パンダの絶滅危惧種指定が解除された」と表現されることがありますが、正確には「絶滅危惧種」から一段階下の「危急種」に引き下げられたという意味です。
危急種も絶滅の心配がある種のひとつで、パンダの危機が完全になくなったわけではありません。
今も野生のパンダは33の小さな集団に分かれて暮らしていて、生息地の分断や気候変動による竹林への影響など、課題は残っています。
ランクが下がったのは、保護活動が成果を上げた証であると同時に、これからも継続する必要があることを示しているのです。
まとめ
野生のジャイアントパンダの生息数は、第4回全国調査で1,864頭、中国政府の最近の発表では1,900頭近くまで増えています。
第5回全国調査の結果は、2026年9月時点ではまだ発表されていません。
1970〜80年代には、生息地の破壊や密猟、竹の一斉枯死などが重なって、野生のパンダは半分以下に激減しました。
その後、保護区の設置や緑の回廊づくり、繁殖研究などの保護活動が実を結び、2016年には絶滅危惧のランクが「危急種」に引き下げられるまでに回復しています。
とはいえ、パンダが絶滅の危機から完全に抜け出したわけではありません。
生息地の分断や気候変動など、パンダを取り巻く課題はまだ残っています。
パンダの未来を守るために、まずは私たち一人ひとりがパンダの現状に関心を持ち続けることが大切です。

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