突然ですが、マヌルネコの名前の由来をご存知ですか?
「マヌル」という響きはどこか不思議で、パッと聞いただけでは意味が想像しにくい言葉ですよね。
実は「マヌル」にはモンゴル語由来のはっきりとした意味があり、英語名や学名にもそれぞれ興味深い由来があります。
この記事では、マヌルネコの名前の意味や由来を中心に、英語名「Pallas’s cat」の由来、学名Otocolobus manulの語源、別名「モウコヤマネコ」まで、マヌルネコの「名前」に関する情報を徹底解説します。
「マヌル」の意味とは?名前の由来、英名、学名、別名まとめ
「マヌルネコ」という名前を分解すると、実は「マヌル」という部分だけで、この動物を指す独立した言葉になっています。
普段何気なく呼んでいる名前ですが、由来をたどってみると、その動物の見た目や生息地にまつわるエピソードが隠れていることが多く、知れば知るほど愛着がわいてくるものです。
この章では、まず動物園の公式サイトの解説を手がかりに「マヌル」そのものの意味(名前の由来)を確認し、そのあと英語名「Pallas’s cat」の由来、学名Otocolobus manulに込められた意味、さらに「モウコヤマネコ」という別名の由来まで、マヌルネコの「名前」に関する情報をまとめて紹介します。
| 名前 | マヌルネコ |
|---|---|
| 英名 | Pallas’s cat(単に「Manul」とも) |
| 学名 | Otocolobus manul |
| 別名 | モウコヤマネコ |
「マヌル」はモンゴル語の「小さいヤマネコ」に由来
さっそく「マヌル」の意味を解き明かしていきましょう。まずは国内でマヌルネコを飼育している動物園の公式サイトから、マヌルネコの名前の意味を解説している部分を引用してご紹介します。
「マヌル」という名前はモンゴルの言葉で「小型のヤマネコ」の意味があります。
マヌルネコ| 旭川市 旭山動物園
マヌルとは、モンゴル語で「小さいヤマネコ」という意味です。
マヌルネコ | 埼玉県こども動物自然公園 | 公益財団法人埼玉県公園緑地協会
マヌルとはモンゴル語で小さい野生ネコを意味します。
どうぶつ図鑑「マヌルネコ」 | 東京ズーネット
「モンゴル語」「小さい」「野生(ヤマ)」「ネコ」と、どの動物園の情報も共通していますね。動物園の解説ページからは、「マヌル」がモンゴル語で「小さいヤマネコ」を意味する言葉なのだということが分かりました!
モンゴル語由来の「マヌル」は、生息地が重なるロシアにもそのまま伝わっており、ロシア語でもほぼ同じ発音の「манул(マヌル)」という名前で呼ばれています。
中央アジアを横断する複数の国・言語で、共通したモンゴル語由来の呼び名が使われているのは面白いポイントです。
ちなみに韓国の食べ物で「マヌルパン」という、クリームチーズとガーリックバターをたっぷり使ったパンがあります。
この「マヌル(마늘)」は韓国語で「にんにく」を意味する単語で、マヌルネコの「マヌル」とは関係がありません。
マヌルネコの英語名は「Pallas’s cat」
マヌルネコの英語名は「Pallas’s cat(パラスィズキャット)」です。
マヌルネコの英語名「Pallas’s cat」は、マヌルネコを発見した学者の名前に由来しています。
1776年にマヌルネコを初めて発見したのが、Peter Simon Pallas(ペーター・ジーモン・パラス)さんというドイツの博物学者でした。
苗字の「Pallas」からとって、「Pallas’s cat(パラスのネコ)」という英語名が付けられたのです。
つまりマヌルネコの英語名は、外見の特徴ではなく発見者の名前に由来する「人名由来タイプ」だったというわけですね。生物の学名や英名には、このように発見者の功績をたたえて名付けられるケースが数多くあります。
マヌルネコの英語名は「Pallas’s cat」ですが、海外の動物園の公式サイトをいくつかチェックしたところ、「Pallas’s cat」だけでなく「Manul」という表記もヒットしました。
「Pallas’s cat」じゃなくてシンプルに「Manul」と言っても英語圏の人にも伝わるみたいです!
また、草原のネコという意味の「Steppe cat(ステップキャット)」とも呼ぶこともあるみたいです。
マヌルネコの学名は「Otocolobus manul」
マヌルネコの学名は「Otocolobus manul」(読み:オトコロブスマヌル)といいます。
学名は基本的にはラテン語の単語を使って、「属名+種名」で表されます。
マヌルネコの場合は、「Otocolobus(属名)」+「manul(種名)」です。
- “Otos“:ギリシャ語で「耳」を意味する “otus” に由来
- “Colobus“:ギリシャ語で「不完全な、切り取られた」を意味する “kolobos” に由来
つまり、 “Otocolobus” 全体としては「小さい耳」といった意味になります。これは、マヌルネコの丸くて小さい耳の特徴を表しています。
“manul” は、上記のようにモンゴル語の「小さいヤマネコ」に由来するので、 “Otocolobus manul“は「小さい耳を持つ小型のヤマネコ」のような意味になります。
学名は、マヌルネコの生物学的な特徴を表現した名前であり、研究者や動物学者などがマヌルネコを識別するために使用しています。
「モウコヤマネコ」という別名もある
マヌルネコには「モウコヤマネコ」という別名もあります。
「モウコ」は「蒙古」、つまり「モンゴル」のことです。別名の「モウコヤマネコ」はそのまま「モンゴルのヤマネコ」ということですね。
図鑑や古い資料では「モウコヤマネコ」の表記で紹介されていることもあり、「マヌルネコ」「モウコヤマネコ」どちらで調べても同じ動物にたどり着きます。
ちなみに「ヤマネコ」は特定の1種だけを指す言葉ではなく、山地や草原に生息するネコ科動物を広く指す総称です。国内の対馬にすむ「ツシマヤマネコ」など、名前に「ヤマネコ」を含む動物は他にもいるため、混同しないように注意しましょう。
マヌルネコってどんな生き物?
マヌルネコは、モフモフすぎる体や「世界一不機嫌なネコ」とも呼ばれるムスッとした表情、カクカクした不思議な動き方など、かなり独特な生態を持つ生き物です。
名前の由来だけでなく、マヌルネコ自体の生態も見た目からは想像しにくい特徴だらけです。
分類上はネコ科の仲間ですが、家猫とは骨格や毛の生え方が異なり、進化の過程で長らく姿を変えていない「生きた化石」のような存在ともいわれています。
この章では基本データから外見・動きの特徴、会える動物園まで、名前以外のマヌルネコの魅力を紹介します。
マヌルネコの基本情報
マヌルネコは、「世界最古のネコ」といわれるネコ科の動物で、600万年ほどまえからほとんど姿が変わっていないと言われています。
| 名前 | マヌルネコ |
|---|---|
| 英名 | Pallas’s cat(Manul) |
| 学名 | Otocolobus manul |
| 分類 | 哺乳綱 食肉目 ネコ科 マヌルネコ属 |
| 大きさ | 体長50〜65cm前後、尾長21〜31cm前後、体重2.5〜5kg前後 |
| 生息地 | モンゴル、ロシア南部、中国西部、カザフスタン、キルギスなど中央アジアの標高の高い乾燥した草原・岩場 |
| 寿命 | 飼育下で10年ほど(15歳を超えて長生きする例もある) |
【特徴1】魅惑のモフモフボディ
マヌルネコの大きさは普通の猫とほとんど同じですが、特筆すべきは体のモフモフ度です。
野生のマヌルネコの主な生息地である中央アジアの高地は冬の寒さがとても厳しく、マイナス30度を記録することもあるそうです。
マヌルネコのモフモフボディは、寒さから身を守るための大切な防寒具なんですね。
ちなみに体毛の長さは約7cmもあり、密度は1平方センチメートルあたり約9,000本も生えているんだとか!
そのためマヌルネコは「世界一モフモフなネコ」と言われることもあるそうです。
ただこれは冬の寒い時期に限った話。夏になるとモフモフな体が一変!暑さをしのぐために同じ生き物とは思えないくらいスリムな姿になります。
この他にも、顔の模様、瞳の色・形、耳の位置など、マヌルネコの外見にはさまざまな特徴があります。

【特徴2】カクカクした動きから目が離せない
マヌルネコは見た目だけでなく、動きも特徴的です。
歩く動作と止まる動作を漫画のコマ送りのようにカクカクと繰り返し、尻尾までビビビビっと細かく動かします。他のネコ科の動物には見られない動きです。
このカクカクした動きは、野生では遮るものが少ない岩場で暮らしていて、天敵に見つかりにくくするためだったり、逆に狩りをするときに獲物にこっそりと近づくためだったりします。
マヌルネコがいる動物園一覧
国内でマヌルネコを飼育している動物園は限られており、事前にどこで会えるかを知っておくと旅行や訪問の計画が立てやすくなります。
現在マヌルネコを展示している国内の動物園は以下の9園です。
- 旭川市旭山動物園(北海道)
- 那須どうぶつ王国(栃木県)
- 埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
- 東京都恩賜上野動物園(東京都)
- 横浜市立野毛山動物園(神奈川県)
- 東山動植物園(愛知県)
- ごかつら池どうぶつパーク(三重県)
- 神戸市立王子動物園(兵庫県)
- 神戸どうぶつ王国(兵庫県)
各動物園のマヌルネコの飼育数や展示方法、見どころなどの詳細はこちらの記事からご覧ください。
_panda-12-300x158.png)
まとめ
マヌルネコの名前の由来について紹介しました。
「マヌル」はモンゴル語で「小さいヤマネコ」を意味する言葉で、英語名「Pallas’s cat」はマヌルネコを発見した学者パラスさんの名前に由来しています。
学名Otocolobus manulも「小さい耳を持つ小型のヤマネコ」というそのままの意味を持つ、覚えやすい由来を持った名前でした。
名前の意味を知ったうえで改めてマヌルネコを見てみると、また違った愛着がわいてくるかもしれません。ぜひ動物園で本物のマヌルネコにも会いに行ってみてください。
おまけ:いつか使ってみたい!マヌルネコに関する英語例文
せっかくマヌルネコの英語名を覚えたので、実際にマヌルネコについて英語で話すときに使えるフレーズも考えてみました。
SNSで海外のマヌルネコファンと交流したり、動物園の英語表記の展示パネルを読んだりするときにも役立つはずです。
外見・生息地・生態・保護活動の4つのテーマに分けて、それぞれ2つずつ例文を用意しました。
マヌルネコの外見に関する英語例文
- Pallas’s cats have fluffy fur that helps them survive in cold environments.
-
訳:マヌルネコは、寒い環境で生き残るのに役立つもふもふとした体毛を持っています。
- They are known for their round eyes and short noses, which give them a unique expression.
-
訳:彼らは、丸い瞳と短い鼻で知られており、それがユニークな表情を与えています。
マヌルネコの生息地に関する英語例文
- The manul’s habitat is mainly in Central Asia.
-
訳:マヌルネコの生息地は主に中央アジアです。
- They live in grasslands and rocky areas.
-
訳:彼らは草原や岩場に生息しています。
中央アジアという地域名や、草原・岩場といった環境を表す単語を覚えておくと、生息地の説明がぐっとしやすくなります。動物園の看板や海外サイトの解説でもよく使われる表現なので、覚えておいて損はありません。
マヌルネコの生態に関する英語例文
何を食べているか、どんな行動をとるかといった生態的な特徴は、海外の動物好きとの会話でも盛り上がりやすい話題です。
- The manul’s diet consists mainly of small mammals like pikas.
-
訳:マヌルネコの食性は、主にナキウサギのような小さい哺乳類からなります。
- They hunt small animals to survive.
-
訳:彼らは生き残るために小さい動物を狩ります。
マヌルネコの保護活動に関する英語例文
- Pallas’s cats are classified as Least Concern on the IUCN Red List.
-
訳:マヌルネコは、IUCNレッドリストで低危険種に分類されています。
- WWF is working to protect manuls and their habitat.
-
訳:WWF(世界野生動物基金)は、マヌルネコとその生息地を保護するために活動しています。
紹介した例文を話す練習をして、世界中のマヌルネコ好きと語り合えるように備えましょう!
ちなみに毎年4月23日は「国際マヌルネコの日(International Pallas’s Cat Day)」という、「世界規模でマヌルネコのことを考えよう!」という日になっています。
マヌルネコを飼育する動物園を中心にさまざまな啓発イベントが開催されるので、参加してみてはいかがでしょうか?


_panda-5.png)