動物園の人気者のジャイアントパンダ。
笹をもりもりと食べるイメージが強いので、「パンダの食べ物=笹」なのは知っている人が多いのではないかと思います。
ですが、「なぜパンダは笹ばかり食べのか」と考えたことはあるでしょうか?
実は、パンダが笹を主食とするようになった背景には、驚きの進化の歴史と、体の秘密が隠されているんです!
この記事では、パンダの「食べ物」にまつわる秘密を徹底解説します!
まずは基本情報:パンダの食べ物といえば竹や笹!

ジャイアントパンダの食べ物といえば、真っ先に思い浮かぶのが「竹(笹)」ではないでしょうか?
そのイメージ通り、パンダの主食は竹です。
ここでは、パンダの食べ物である笹や竹について、どのくらいの量をどんな風に食べるのか詳しく見ていきましょう!
大量の竹を食べる
パンダは1日に20~30kgもの竹を食べます。これは体重の20~30%にもおよびます。
私たち人間で例えると、1日に10kg(約66合)以上のお米を食べるようなもの。途方もない量なのが想像いただけたのではないでしょうか?
こんなに大量の竹を食べるためには、長い時間をかけて、とにかく食べて食べて食べまくるしかありません。
そのため、パンダは起きている時間のほとんどを竹を食べるのに費やし、食事時間は10時間以上にもわたります。
また、食事の時間以外の大半(10時間以上)を寝て過ごし、竹から得たエネルギーを温存します。
パンダの生活は食事を中心に回っているといっても過言ではないかもしれません。
*参考:和歌山アドベンチャーワールド 未来のSmile応援プロジェクト
*参考:動物園のパンダの「油断した姿」にファンが“大注目”しているワケ(二木 繁美) – 2ページ目 | +αオンライン | 講談社
*参考:パンダの基礎知識 | 日本パンダ保護協会
竹に対する強いこだわり
パンダはとてもグルメで、竹の種類や部位、鮮度などさまざまなこだわりをもっています。
野生のパンダは、生息地に自生する何種類もの竹や笹を食べ分けています。
季節や場所によって手に入りやすい笹の種類や栄養価が変わるため、それに合わせて食べるものを選んでいるのです。
ちなみに、春に生えてくるタケノコはパンダの大好物です。
竹に対して強いこだわりを持っているのは、動物園のパンダも同じです。
竹の種類の好き嫌いがあったり、葉の部分や硬い幹の部分など竹の一部だけを選んで食べることも。
そのため、パンダを飼育する動物園ではパンダが十分な量を食べられるように、さまざまな努力を重ねています。
- 常に複数種類の竹・笹を仕入れる
- 入荷の頻度を調整したり、低温で貯蔵したり、毎日水をかけたりして新鮮さを保つ
- 好き嫌いをしても十分な量食べられるように、実際に食べる量の約2倍の量を与える(食べ残しは竹はゾウやサルなど他の動物に与える)
パンダを飼育するうえで非常に大変なのが新鮮で十分な量の竹の確保です。
竹が自生していない国では飛行機などで海外から調達する必要がありますが、過去には竹の輸入が難しくなり、予定よりも早くパンダを中国に返還することになった事例もありました。
*参考:新鮮な竹を1日20kg…可愛い顔して食費がスゴい – ウェザーニュース
*参考:コロナで竹不足 カナダの動物園、パンダを中国に返還へ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
【補足】笹と竹の違いは?
パンダが食べるのは「笹」なのか「竹」なのか?私自身よく分かっていなかったので、整理したいと思います。
植物学的には、笹も竹も同じイネ科タケ亜科に属する植物で、一般的には、以下のような違いで区別されています。
- 笹: 稈(かん:茎の部分)を包む皮(稈鞘:かんしょう)が、成長しても残るもの。
- 竹: 稈が成長すると、皮が落ちるもの。
ただし、この区別は絶対的なものではなく、例外もあります。
パンダは笹も竹も同じように食べることができますが、実際に食べているのは「孟宗竹(モウソウチク)」などの「竹」が多いようです。
笹にしろ竹にしろ、栄養価が低く、他の動物があまり食べない植物です。
それなのに、なぜパンダは笹を主食に選んだのでしょうか?
その理由は、パンダの進化の歴史と体のつくりに隠されています。
*参考:竹と笹の見分け方 大きいから竹とは限らない? – ウェザーニュース
*参考:Q4:ジャイアントパンダはタケ・ササしか食べないの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
なぜ竹ばかり?パンダの食性の謎に迫る!
なぜパンダは、栄養価の低い竹をあえて主食に選んだのでしょうか?
「他の食べ物を選んだ方が、楽に生きていけるのでは…?」と思ってしまいますよね。
実は、パンダが笹を食べるようになった背景には、パンダの辿ってきた進化の歴史が深く関わっているのです。
ここでは、パンダの食性の謎に迫っていきたいと思います。
パンダの祖先は肉食動物だった!
驚くべきことに、パンダの祖先は肉食動物だったと考えられています。
その証拠にパンダの体の構造には、肉食動物の名残が見られ、消化器官は肉食動物特有の短い腸を持っています。
元々は肉食の生活を送っていたパンダの祖先ですが、進化の過程で笹を主食とするようになっていったようです。
*参考:Q4:ジャイアントパンダはタケ・ササしか食べないの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
竹を食べるようになった理由
パンダは生存競争を勝ち抜くために竹を主食とする食性に進化していったと考えられています。
- 天敵から逃れて生息地に選んだ中国の山岳地帯に竹林が多く、大量に確保しやすい
- 竹は成長が早く冬でも枯れないため、一年中供給が安定している
- 竹を主食とする動物があまりいないため、えさをめぐる争いが起こりにくい
このような理由が複合的に組み合わさって、パンダの竹食が確立されていったという説が有力です。
*参考:Q5:ジャイアントパンダはどうしてタケ・ササを食べるようになったの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
竹食に特化!パンダの驚きの体の構造
天敵を避けて安全な暮らしを手に入れる代わりに、栄養価の低い竹を大量に食べる特殊な食生活をすることを選んだジャイアントパンダ。
では、パンダはどのようにして竹から栄養を摂取し、生きていくことができるのでしょうか?
竹を食べることにとことん特化したパンダの体の特徴をご紹介します。
1. 頑丈な顎と歯
パンダは、非常に頑丈な顎と歯を持っていて、竹の「葉」の部分だけではなく、とても硬い「幹」の部分でもバリバリと嚙み砕いて食べることができます。
特に、臼歯は平らで大きく、竹を細かくすりつぶすのに適した形をしています。
顔回りの筋肉も発達しており、強い力で笹を噛み砕くことができます。パンダび可愛らしい丸顔は、実はこの筋肉がつくっているんです。
*参考:神戸新聞NEXT|連載・特集|話題|上野の双子パンダ、ほぼ永久歯に 全部生えそろうと一体何本?なぜ笹ばかり食べるの?歯科医に聞いた
2. 「第6の指」
パンダの最も特徴的な体のつくりといえば、前足にある「第6の指」と呼ばれる突起です。
これは、手首の骨の一部(種子骨)が発達したもので、親指のように他の指と向かい合わせに動かすことができます。
この「第6の指」があることで、パンダは竹をしっかりとつかみ、効率よく食べることができるのです。
効率よく食事をするために指(のようなもの)が1本増えてしまうなんてびっくりですよね。
*参考:Q1:ジャイアントパンダは何本指ですか?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
3. 特殊な腸内細菌
パンダの消化管は、肉食動物の名残で短いままで、硬く繊維質の竹の消化に適しているとはいえません。
しかし、パンダは竹の消化を助ける特殊な腸内細菌を持っていることが分かっています。
この腸内細菌の働きによって、パンダは竹からある程度の栄養を吸収することができるのです。
*参考:パンダが竹を食べる謎を解明 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
4. 長い食事時間と省エネな生活
強いあごや特殊な腸内細菌をもってしても、竹からはわずかな栄養しか取ることができず、食べた竹の約8割は未消化のまま糞になってしまいます。
栄養がわずかしか得られない分、パンダは1日の大半を食事に費やして大量に食べることで必要なエネルギーを確保します。
また、パンダは動きがゆっくりであまり活発に動き回らず、寝ている時間も長いです。
これは、エネルギー消費を抑え、笹から得たわずかなエネルギーを効率よく使うための戦略と考えられています。
*参考:Q5:ジャイアントパンダはどうしてタケ・ササを食べるようになったの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
パンダは笹や竹以外も食べる?
パンダは草食動物ではなく、雑食動物に分類されています。
そのため、食べ物のほとんどは笹や竹ですが、ごくまれにそれ以外のものを食べることもあります。
野生のパンダと動物園のパンダそれぞれについて、笹以外のパンダの食べ物を調べてみました。
野生のパンダ
野生のジャイアントパンダは笹や竹のほかに、他の植物、小動物(ネズミ、鳥など)、昆虫、果実などを食べることもあるそうです。
*参考:Q4:ジャイアントパンダはタケ・ササしか食べないの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
*参考:パンダの基礎知識 | 日本パンダ保護協会
動物園のパンダ
動物園のパンダも基本的には笹・竹を中心とした食生活を送っています。
しかし、栄養バランスを考え、補助的に笹や竹以外の食べ物を与えることがあります。
また、笹以外の食べ物はパンダの病気を治療する際に、薬を混ぜて与えられることもあるそうです。
*参考:Q4:ジャイアントパンダはタケ・ササしか食べないの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
*参考:ジャイアントパンダについて|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
*参考:パンダも粉ミルクを飲む!? 森乳サンワールドがつくる「パンダミルク」の開発秘話 – いきもののわ
*参考:動物園のパンダが大好きな「サトウキビジュース」気になるその味は…?(二木 繁美) – 3ページ目 | 現代ビジネス | 講談社
もっと知りたい!パンダの基本情報

パンダの食べ物についてかなり詳しくなったのではないでしょうか!
ここからはさらに、パンダの分類や体の特徴、生息地など、パンダの基本情報についてもご紹介します。
もっと詳しく知りたい方は、関連記事もチェックしてみてくださいね!
パンダは何科の動物?
ジャイアントパンダは、食肉目クマ科ジャイアントパンダ属に分類される動物です。
つまり、広い意味ではクマの仲間ということになります。しかし、長い間、パンダの分類は研究者の間で議論の的でした。
かつては、アライグマに近いとする説や、ジャイアントパンダとレッサーパンダで独立した「パンダ科」を設けるべきだとする説など、さまざまな意見がありました。
近年、DNA解析などの技術が進歩したことで、ジャイアントパンダはクマ科に最も近いことが明らかになり、現在の分類に落ち着きました。
*参考:Q2:ジャイアントパンダは何の仲間?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
パンダの生息地はどこ?
野生のジャイアントパンダは、現在、中国南西部の四川省、陝西省、甘粛省などの限られた地域にのみ生息しています。
具体的には、標高1,300~3,500メートルほどの竹林が広がる山岳地帯です。
パンダの生息地は、冬には雪に覆われることもある寒暖差の激しい厳しい環境です。
パンダは、厚い毛皮や竹を主食とする特殊な食性などを手に入れて、この環境に適応して生き抜いてきました。
*参考:Q6:ジャイアントパンダはどんなところに棲んでいるの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
パンダの生態は?
パンダは、基本的に単独行動をする動物です。
繁殖期以外は、オスとメスが一緒にいることはほとんどありません。
自分の縄張りを持っており、木の幹に尿や分泌物でマーキングをすることで、他のパンダとの接触を避けています。
また、パンダは木登りが得意で、水泳もできるなど、意外な一面も持っています。
まとめ:パンダは笹を食べるために進化した!
パンダの主食が笹や竹であること、その理由や体の仕組みについて解説しました。
- パンダの祖先は肉食動物だったが、生息環境や体の構造の変化などにより、笹を主食とするようになった。
- 笹は栄養価が低いが、競争相手が少なく、一年中安定して手に入るというメリットがある。
- パンダは笹を食べるために、顎や歯、第6の指、腸内細菌など独自の進化を遂げた。
パンダの笹食への適応は、厳しい自然環境の中で生き抜くための、驚くべき生存戦略の結果だったのですね。