ジャイアントパンダは「クマ科」、レッサーパンダは「レッサーパンダ科」の動物です。
同じ「パンダ」という名前でも、実は別々のグループに分類されています。
ただ、ジャイアントパンダがクマ科に落ち着くまでには、発見から100年以上もの長い議論がありました。
中国語では「熊猫」と書くので、ネコ科なのでは?と思っていた人もいるかもしれませんね。
この記事では、ジャイアントパンダが何科・何類・何目の動物なのかという基本から、ネコ科ではない理由、クマ科に決まるまでの歴史、レッサーパンダの分類まで、分かりやすく解説します!
パンダは何科?答えは「クマ科」
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白黒模様でおなじみのジャイアントパンダは、食肉目クマ科ジャイアントパンダ属に分類されています。つまり、ヒグマやツキノワグマと同じクマの仲間です。
一方、赤茶色の毛としま模様のしっぽが特徴のレッサーパンダは、食肉目レッサーパンダ科レッサーパンダ属。ジャイアントパンダの仲間ではなく、レッサーパンダだけの独立したグループに分類されています。
2種類のパンダの分類を、クマ・ネコ・アライグマと比べてみると、次のようになります。
| 分類 | ジャイアントパンダ | レッサーパンダ | ヒグマ | イエネコ | アライグマ |
|---|---|---|---|---|---|
| 綱 | 哺乳綱 | 哺乳綱 | 哺乳綱 | 哺乳綱 | 哺乳綱 |
| 目 | 食肉目 | 食肉目 | 食肉目 | 食肉目 | 食肉目 |
| 科 | クマ科 | レッサーパンダ科 | クマ科 | ネコ科 | アライグマ科 |
| 属 | ジャイアントパンダ属 | レッサーパンダ属 | クマ属 | ネコ属 | アライグマ属 |
| 学名 | Ailuropoda melanoleuca | Ailurus fulgens など | Ursus arctos | Felis catus | Procyon lotor |
表を見ると、5種類とも「食肉目」までは同じで、「科」から先が分かれていることが分かります。
ジャイアントパンダと同じ「クマ科」に入っているのは、ヒグマだけです。
パンダは何類?何目?
パンダは何類かというと、答えは「哺乳類(ほにゅうるい)」です。
分類の専門用語でいうと「哺乳綱」にあたり、私たち人間やイヌ、ネコと同じく、お母さんのお乳で赤ちゃんを育てる動物のグループです。
哺乳類の下の分類では、パンダは「食肉目(しょくにくもく)」に該当します。食肉目は、ライオンやオオカミのように、もともとは肉を食べるのに適した歯や体のつくりを持つ動物のグループです。
ジャイアントパンダは、食べ物の9割以上が竹なのに、肉食動物の仲間に入っています。
これは、祖先が肉を食べていたころの体のしくみを今も受け継いでいるからです。
腸が短く、植物を消化するのが得意な体ではないため、パンダは1日の大半を竹を食べることに費やしています。
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パンダはネコ科?「熊猫」なのにネコの仲間じゃない理由
中国語でジャイアントパンダは「熊猫(シォンマオ)」と書きます。
漢字だけ見ると「クマのようなネコ」と読めるので、パンダはネコの仲間だと思っている人も多いようです。
ですが、パンダはネコ科ではありません。「熊猫」は見た目の印象などから付けられた呼び名で、分類とは関係がないのです。
ただし、まったく無関係というわけでもありません。実は、パンダが入っている「食肉目」は、日本語で「ネコ目(ねこもく)」とも呼ばれています。
つまりパンダは、ネコ「科」ではないけれど、ネコと同じネコ「目」の仲間。
「ネコの遠い親戚」くらいに考えると、分かりやすいかもしれませんね。
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ジャイアントパンダがクマ科に決まるまで
今でこそ「パンダはクマ科」と言い切れますが、実はその分類は簡単には決まりませんでした。
1869年にジャイアントパンダが発見されてから、100年以上にわたって、研究者の間でさまざまな議論が続いてきたのです。
ここでは、パンダがクマ科に決まるまでの道のりと、クマとの共通点・違いを紹介します。
見た目、歯や骨、そしてDNA。研究者たちがさまざまな角度からパンダを調べてきた歴史をたどると、「パンダはクマ科」という一言の答えの奥にある、パンダという動物の不思議さが見えてきます。
100年も決まらなかった3つの説
ジャイアントパンダの分類については、大きく分けて次の3つの説がありました。
- クマ科説
体の大きさや骨格、内臓のつくりなどがクマに似ていることから。 - アライグマ科説
歯や骨格に、アライグマの仲間と共通する特徴があることから。
同じく「パンダ」と呼ばれていたレッサーパンダが、当時アライグマ科に分類されていたことも影響した。 - パンダ科説
クマともアライグマとも決定的には一致しないことから、独立した「パンダ科」を作るべきだという考え。
なぜこんなに意見が分かれたのかというと、ジャイアントパンダが、クマにもアライグマにもない独特な特徴をたくさん持っていたからです。
例えば、竹を食べるために発達した大きな奥歯や、竹をつかむための「第6の指(偽の親指)」などです。
しかもこれらの特徴は、竹を食べるレッサーパンダにも見られます。2種類の「パンダ」がよく似た動物に見えたことが、話をさらに複雑にしていました。
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決め手はDNA:クマ科に落ち着いた経緯
議論が大きく動いたのは、1960年代のことです。アメリカの解剖学者ドワイト・D・デーヴィスが、ジャイアントパンダの体を詳しく調べ、「クマ科に分類すべきだ」と結論づけました。
その後、1970年代から80年代にかけて、血液のたんぱく質や染色体、遺伝子(DNA)を使った研究が進みます。
そして1980年代以降のDNAの研究によって、ジャイアントパンダはクマの仲間から早い時期に枝分かれした動物であることが明らかになりました。
こうして、見た目や体のつくりだけでは決めきれなかったパンダの分類は、DNAという「設計図」を調べることで、ようやくクマ科に落ち着いたのです。
上野動物園の公式サイトでも、「現在は、DNAの検査結果などからクマ科に分類されています」と説明されています。
また、レッサーパンダとジャイアントパンダは、DNAの研究から近い仲間ではないことも分かりました。
竹を食べることや偽の親指を持つことは、別々の動物が似た環境で暮らすうちに、同じような特徴を身につけた結果だと考えられています。
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ジャイアントパンダとクマの共通点・違い
クマ科に分類されるだけあって、ジャイアントパンダにはクマと共通する特徴がたくさんあります。
一方で、ほかのクマにはない、パンダならではの特徴もあります。
| 項目 | ジャイアントパンダ | ヒグマなどのクマ |
|---|---|---|
| 体つき | がっしりとした骨格(共通) | がっしりとした骨格(共通) |
| 内臓 | 肉食動物に近い、短い腸(共通) | 肉食動物に近い、短い腸(共通) |
| 染色体 | 42本 | 74本(クマ属) |
| 食べ物 | ほぼ竹だけ | 雑食(肉・魚・木の実など) |
| 前足 | 竹をつかむ「第6の指」がある | 第6の指はない |
| 冬眠 | しない | するものが多い |
特に面白いのが染色体です。ジャイアントパンダの染色体は42本で、クマ属の74本とは数が大きく違います。
ところが、染色体の模様を詳しく比べると、クマの染色体がいくつかくっついたような形をしていることが分かりました。
数だけ見ると別の仲間に思えるのに、中身を調べるとクマとよく似ている。こうした「見かけと中身のちがい」が、パンダの分類をむずかしくしていた理由の一つです。
また、ヒグマやツキノワグマが冬眠するのに対して、パンダは冬眠しません。栄養の少ない竹では、冬眠に必要な脂肪をたくわえられないためだと考えられています。
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パンダの祖先はどんな姿だった?
ジャイアントパンダの祖先は、およそ800万年前にはすでに中国に暮らしていたことが、化石からわかっています。
中国の雲南省では、「始熊猫(アイルラルクトス)」と呼ばれる祖先の化石が見つかっています。
2022年には、約600万年前の始熊猫の化石から「第6の指」の骨が見つかり、このころにはもう竹をつかんで食べていた可能性が示されました。
中国南部の広西の洞窟からは、約200万年前のパンダの仲間の頭の骨が見つかっています。
頭の骨の大きさは今のパンダの約半分で、体も全長で60cmほど短い、中型犬くらいの小さなパンダだったと考えられています。
それでも、頭の骨には今のパンダの特徴がそろっていて、厚い歯から、すでに竹を主に食べていたと考えられています。
インターネットでは「パンダは人工的に作られた動物」という話を見かけることがありますが、パンダは何百万年もかけて自然に進化してきた動物です。
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レッサーパンダは何科?
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次に、もう1種類の「パンダ」であるレッサーパンダの分類を見ていきましょう。赤茶色のふさふさした毛と、しま模様の長いしっぽがかわいい、日本の動物園でもおなじみの動物です。
実は、もともと「パンダ」と呼ばれていたのはレッサーパンダのほうです。
1825年に先にレッサーパンダが発見され、そのあとに見つかった白黒の大きな動物が「ジャイアント(大きな)パンダ」と呼ばれるようになりました。
そんなレッサーパンダも、ジャイアントパンダと同じくらい、分類がむずかしい動物でした。
「レッサーパンダ科」レッサーパンダだけのグループ
レッサーパンダは現在、食肉目レッサーパンダ科レッサーパンダ属に分類されています。
レッサーパンダ科には、レッサーパンダの仲間しかいません。ほかのどの動物とも違う、レッサーパンダだけの独立したグループなのです。
さらに2020年には、中国の研究チームがDNAを詳しく調べ、レッサーパンダは中国に住む「シセンレッサーパンダ」と、ネパールなどヒマラヤ沿いに住む「ネパールレッサーパンダ」の2種類に分けるべきだと発表しました。
日本の動物園で暮らすレッサーパンダの多くは、シセンレッサーパンダです。
かつての分類議論と、今わかっている「近い仲間」
レッサーパンダも、ジャイアントパンダと同じように、分類が決まるまでに紆余曲折がありました。
- アライグマ科説
顔つきや、しま模様のしっぽがアライグマに似ていることから。長い間、アライグマ科に分類されていた。 - パンダ科説
竹を食べることや偽の親指を持つことなど、ジャイアントパンダとの共通点から、2種類のパンダをまとめて「パンダ科」とする考え。 - レッサーパンダ科説
アライグマともパンダとも違うことから、レッサーパンダだけの独立した科とする考え(現在の分類)。
DNAの研究が進んだ結果、レッサーパンダはジャイアントパンダとは近くないことが分かり、独立した「レッサーパンダ科」に分類されるようになりました。
では、レッサーパンダに近い仲間は誰なのでしょうか?
今のところ、レッサーパンダはイタチ・スカンク・アライグマなどと同じ「イタチ上科」というグループに入ると考えられています。
見た目が似ているアライグマとは、遠い親戚のような関係です。
そもそも「科」とは?生き物の分類の基本
ここまで「クマ科」「レッサーパンダ科」と説明してきましたが、そもそも「科」とは何なのでしょうか。
「科」は、生き物を共通の特徴に基づいてグループ分けする「分類学」という学問で使われる、グループの階層の一つです。
分類のルールを知っておけば、パンダだけでなく、ほかの生き物の「何科?」もぐっと分かりやすくなります。
ここでは、分類の階層の基本と、そもそもなぜ生き物を分類する必要があるのかを、簡単に整理しておきましょう。
界・門・綱・目・科・属・種とは
生き物は、その特徴に基づいて、大きなグループから小さなグループへと分けられています。この階層が、「界・門・綱・目・科・属・種」です。
| 階層 | どんな分類? | 例 |
|---|---|---|
| 界(かい) | 生物全体を大きく分けたグループ | 動物界、植物界 |
| 門(もん) | 界の下のグループ | 脊索動物門、節足動物門 |
| 綱(こう) | 門の下のグループ | 哺乳綱、鳥綱、爬虫綱 |
| 目(もく) | 綱の下のグループ | 食肉目、霊長目、クジラ目 |
| 科(か) | 目の下のグループ | クマ科、ネコ科、イヌ科 |
| 属(ぞく) | 科の下のグループ | クマ属、ネコ属、イヌ属 |
| 種(しゅ) | いちばん小さなグループ | ヒグマ、イエネコ、ライオン |
例えば、私たち人間は「動物界・脊索動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ホモ・サピエンス」という分類になります。
界から種に向かうほど細かいグループになり、細かいグループまで同じ生き物ほど「近い仲間」だと考えられます。
同じ科の動物は、共通の祖先を持ち、似た特徴を持っていることが多いのです。
なぜ生き物を分類するの?
生き物を分類する理由は、主に3つあります。
- 生き物の多様さを整理するため:地球上の数えきれない生き物を整理し、理解しやすくする
- 進化の道筋を知るため:分類は進化の道筋を反映していて、生き物がどう進化してきたのかが分かる
- 研究の共通ルールにするため:世界中の研究者が、同じ基準で議論できるようになる
パンダの分類が100年以上もかけて見直されてきたのも、「パンダがどんな進化をたどってきた動物なのか」を正しく知るためでした。
分類は、生き物の歴史を映す鏡のようなものなのです。
まとめ
パンダの分類について解説しました。
ジャイアントパンダは哺乳類・食肉目(ネコ目)・クマ科の動物で、ネコ科ではありません。
レッサーパンダは食肉目レッサーパンダ科で、2種類のパンダは名前が同じでも、実は近い仲間ではないのです。
竹を食べる、偽の親指を持つといった共通点や、クマともアライグマとも違う独特な特徴のせいで、DNAの研究で結論が出るまで100年以上も分類に関する議論が続きました。
ふだん何気なく見ているパンダですが、「クマの仲間なんだ」と思って見てみると、がっしりした体つきや歩き方に、クマらしさが見えてくるかもしれませんね。

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