パンダの学名は?Ailuropoda melanoleucaの読み方・意味・ラテン語の由来を解説

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ジャイアントパンダの学名はAiluropoda melanoleuca(アイルロポダ・メラノレウカ)です。

Ailuropoda melanoleucaの意味は、「ネコの足を持つ、白黒の(動物)」。呪文のような響きですが、パンダの見た目の特徴をそのまま表した名前なのです。

この記事では、パンダの学名の読み方と意味、もとになったギリシャ語・ラテン語を解説します。

さらに、最初は「クマ」として名付けられた学名が今の形になるまでの歴史や、パンダの分類をめぐる100年以上にわたる論争、レッサーパンダの学名についても紹介します。

もくじ

ジャイアントパンダの学名「Ailuropoda melanoleuca」

ジャイアントパンダの学名は「Ailuropoda melanoleuca」です。カタカナでは「アイルロポダ・メラノレウカ」と読みます。

「ジャイアントパンダ」とはまったく似ていない名前ですが、どんな意味があり、誰がどのように付けたのでしょうか?

ここでは、学名を2つの部分に分けて意味を読み解き、名付けの歴史をたどっていきます。

学名は「何語?」という疑問の答えも、ここで分かりますよ。

読み方と意味を知っておくと、動物園の解説板や図鑑で学名を見かけたときにも楽しめます。

読み方と意味:「ネコの足を持つ白黒の動物」

Ailuropoda melanoleuca は、「Ailuropoda」と「melanoleuca」の2つの単語からできています。

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学名の部分読み方もとの言葉意味
Ailuropodaアイルロポダailouros(ネコ)+ pous/podos(足)ネコの足
melanoleucaメラノレウカmelas(黒)+ leukos(白)白黒の
※もとの言葉はいずれも古代ギリシャ語

2つを合わせると、「ネコの足を持つ、白黒の(動物)」という意味になります。

学名は、ラテン語の文法にしたがって書く決まりがあります。ただ、パンダの学名のもとになっている言葉は、どちらも古代ギリシャ語です。ギリシャ語の単語をラテン語風の形にして、学名が作られているのです。

ちなみに「melano-(黒)」は「メラニン色素」、「leuko-(白)」は白血球を意味する「leukocyte」など、私たちの身近な言葉にも使われています。

最初は「白黒のクマ」だった!学名の歴史

ジャイアントパンダが学問の世界で「発見」されたのは、1869年のことです。

中国四川省で白黒の不思議な毛皮に出会ったフランス人宣教師のアルマン・ダヴィド。

彼は標本をパリの国立自然史博物館に送り、新種のクマ「Ursus melanoleucus(白黒のクマ)」として発表しました。Ursus は、ラテン語で「クマ」を意味する言葉です。

ところが翌1870年、標本を調べた博物館の動物学者アルフォンス・ミルヌ=エドワールは、この動物はクマとは別の仲間だと考え、新しい属名として「Ailuropoda」を作りました。

こうして、今の学名 Ailuropoda melanoleuca ができあがったのです。

よく見ると、種小名の語尾が「melanoleucus」から「melanoleuca」に変わっていますね。これは、ラテン語の文法では属名に合わせて語尾の形を変える決まりがあるためです。

そのため、パンダの学名は正式には「Ailuropoda melanoleuca(David, 1869)」と書かれます。最初に名付けた人と年をカッコでくくるのは、後から属が変わったという印です。

クマ?アライグマ?学名をめぐる100年以上の論争

学名の歴史からも分かるように、パンダがどの動物の仲間なのかは、発見されたときから研究者の意見が分かれていました。

ダヴィドはクマの仲間だと考えましたが、ミルヌ=エドワールは、先に見つかっていたレッサーパンダに近い動物だと考えました。

Ailuropoda という属名に、レッサーパンダの属名 Ailurus と同じ「ネコ(ailouros)」の言葉が使われているのも、そのためです。

その後も、ジャイアントパンダは「クマ科」「アライグマ科」、あるいはレッサーパンダと一緒の「パンダ科」のどれに分類すべきか、さまざまな説が唱えられ、論争は100年以上続きました。

決着がついたのは、1985年のことです。アメリカの研究チームが遺伝子(DNA)などを使って調べ、ジャイアントパンダはクマ科の仲間であることを示しました。

今では、ジャイアントパンダは「食肉目クマ科ジャイアントパンダ属」に分類されています。

秦嶺パンダには「亜種」の学名がある

ジャイアントパンダのなかには、学名がもう1語長いパンダもいます。それが、陝西省の秦嶺(しんれい)山脈に暮らす秦嶺パンダです。

2005年、中国の研究チームは、秦嶺パンダを四川省などのパンダとは別の亜種として発表しました。

亜種とは、同じ種のなかで、地域ごとに形や特徴に違いがあるグループのことです。

亜種学名特徴
四川パンダAiluropoda melanoleuca melanoleuca頭骨が大きく、奥歯は小さめ
秦嶺パンダAiluropoda melanoleuca qinlingensis頭骨が小さく、奥歯は大きめ。毛が茶色っぽい

亜種の学名は、種の学名のあとに亜種名を加えた3語で書きます(三名法)。qinlingensis は「秦嶺(Qinling)の」という意味です。

茶色い毛を持つ珍しいパンダ「七仔(チーザイ)」も、この秦嶺で保護されたパンダです。

レッサーパンダの学名「Ailurus fulgens」

レッサーパンダの写真

レッサーパンダの学名は「Ailurus fulgens」。読み方は「アイルルス・フルゲンス」です。

学名の部分読み方もとの言葉意味
Ailurusアイルルスailouros(ギリシャ語)ネコ
fulgensフルゲンスfulgens(ラテン語)輝く、燃えるような

2つを合わせると「輝く(燃えるような)ネコ」。赤茶色に輝く美しい毛並みを表した名前です。

レッサーパンダは、ジャイアントパンダより早い1825年に、フランスの動物学者フレデリック・キュヴィエによって名付けられました。

もともと「パンダ」はレッサーパンダの呼び名で、あとから見つかった白黒の大きな動物が「ジャイアントパンダ」と呼ばれるようになったのです。

なお、2020年には遺伝子の研究から、レッサーパンダを「ヒマラヤレッサーパンダ(Ailurus fulgens)」と「シセンレッサーパンダ(Ailurus styani)」の2つの種に分けるべきだとする説が発表されました。

ただし、これまでどおり1つの種の中の亜種として扱う考え方も根強く、まだ議論が続いています。

日本の動物園で多く見られるのは、シセンレッサーパンダです。

【参考】学名とは?付け方のルール

学名とは、生物学の世界で使われる、世界共通の生き物の名前です。

生き物の呼び名は、国や言語によって変わります。パンダも、日本では「ジャイアントパンダ」、英語では「Giant Panda」、中国語では「大熊猫」です。

学名を使えば、どの国の研究者でも同じ生き物を指していることがはっきり分かります。

学名の付け方には、主に次のようなルールがあります。

  • 二名法:「属名」と「種小名」の2語で表す(例:Ailuropoda=属名、melanoleuca=種小名)
  • ラテン語で書く:ラテン語や、ラテン語の形にしたギリシャ語などを使う
  • 書き方:属名の最初の文字だけ大文字にし、イタリック体(斜めの文字)で書く

亜種まで表すときは、秦嶺パンダのように3語にします(三名法)。

パンダの学名・英名・和名・中国語名まとめ

ジャイアントパンダとレッサーパンダの、いろいろな呼び名を整理しておきましょう。

項目ジャイアントパンダレッサーパンダ
学名Ailuropoda melanoleucaAilurus fulgens
学名の意味ネコの足を持つ白黒の(動物)輝くネコ
英名Giant PandaRed Panda、Lesser Panda
和名ジャイアントパンダレッサーパンダ
中国語名大熊猫(dàxióngmāo)小熊猫(xiǎoxióngmāo)

まとめ

ジャイアントパンダの学名はAiluropoda melanoleuca(アイルロポダ・メラノレウカ)。

ギリシャ語がもとになった言葉で、「ネコの足を持つ、白黒の(動物)」という意味です。

1869年に最初に付けられた学名は「白黒のクマ」を意味する Ursus melanoleucus でしたが、翌1870年に新しい属 Ailuropoda が作られ、今の学名になりました。

パンダがクマの仲間だと決着したのは、それから100年以上たった1985年のことです。

レッサーパンダの学名は Ailurus fulgens(アイルルス・フルゲンス)で、「輝くネコ」という意味。

2種類のパンダの学名に共通する「ネコ」の言葉は、かつて仲間だと考えられていた名残なのです。

参考サイト・参考文献一覧
・ヘンリー・ニコルズ『パンダが来た道:人と歩んだ150年』白水社、2014年
・Ailuropoda melanoleuca|Wikispecies
・ailurophile の意味、由来|英語語源辞典・エティモンライン
・pod|ハイパー英語語源辞書
・メラ─(メラ)とは?|コトバンク
・A molecular solution to the riddle of the giant panda’s phylogeny|Nature(1985)
・A New Subspecies of Giant Panda (Ailuropoda melanoleuca) from Shaanxi, China|Journal of Mammalogy(2005)
・レッサーパンダの歴史|鯖江市西山動物園
・Genomic evidence for two phylogenetic species and long-term population bottlenecks in red pandas|Science Advances(2020)
・シセンレッサーパンダ|札幌市円山動物園
・学名の表しかた|北海道大学 LASBOS Moodle

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この記事を書いた人

大好きなパンダとマヌルネコについて日々学び続ける勉強熱心なパンダです。私と同じように動物好き、動物園好きな方の役に立つ情報を発信したいと思い、このサイトを立ち上げました!

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