動物園では人気者のジャイアントパンダですが、野生のパンダが世界に何頭ぐらいいるか、知っていますか?
実は、パンダは絶滅危惧種に指定されていたこともあるほど、数が少ない動物なんです。
この記事では、
野生のジャイアントパンダの最新の生息数と過去からの推移をグラフで
紹介します。
また、生息数の増減の理由や、生息数を増やすための保護活動の内容と成果についても詳しく解説します!
野生のジャイアントパンダの生息数の推移
こちらが1970年代から2010年代にかけて、野生のジャイアントパンダの生息数がどのように推移しているかを表すグラフです。

調査年 | 1977年 | 1988年 | 2003年 | 2014年 |
生息数 | 2,459頭 | 1,144頭 | 約1,600頭 | 1,864頭 |
*参考:上野動物園園内の立て看板「野生での生息状況は?」
*参考:パンダ「絶滅危惧種」解除は正当か、専門家に聞く | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
直近では、野生のパンダの生息数は約1,864頭と推定されています(2015年、中国国家林業局発表)。
これは、1988年の調査結果(約1,114頭)と比べると、大幅な増加です。
この生息数増加を受け、IUCN(国際自然保護連合)は、2016年にジャイアントパンダの絶滅危惧レベルを「絶滅危惧種(Endangered)」から「危急種(Vulnerable)」に引き下げました。
これに引き続いて、2021年には中国独自の評価基準でも、ジャイアントパンダの絶滅危惧種指定が解除されました。
*参考:その数1,864頭 ジャイアントパンダの最新の推定個体数 |WWFジャパン
*参考:中国パンダ界のトップアイドル「ホワホワ」 聖地・四川省で記者が見た熱狂と「萌経済」:朝日新聞GLOBE+
*参考:ジャイアントパンダについて|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
ちなみに:飼育下のジャイアントパンダの数
世界各国の動物園や保護センターなどで飼育されているパンダの頭数は2024年11月時点で757頭と発表されており、野生のパンダと同様に増加傾向にあります。
このうちのほとんどは中国国内で飼育されていますが、その他20か国以上の動物園で中国からレンタルされたパンダを飼育しています。
日本では、2025年現在、上野動物園(東京都)とアドベンチャーワールド(和歌山県)の2か所で合計6頭のジャイアントパンダを飼育しています。
施設名 | 所在地 | 今いるパンダ | 歴代パンダ | 誕生したパンダ |
---|---|---|---|---|
上野動物園 | 東京都 | 2頭 | 14頭 | 6頭 |
アドベンチャーワールド | 和歌山県 | 4頭 | 20頭 | 17頭 |


パンダの生息数の変化の要因
それでは、なぜパンダの生息数はこのように変化してきたのでしょうか?
1970年代から1980年代にかけて生息数が大幅に減少した理由と、1990年代以降に生息数が増加傾向にある理由について説明します。
パンダの生息数の増減の背景にある、パンダの生息地をめぐる問題と保護活動の歴史を見ていきましょう。
1970年代~1980年代:複合的な要因で生息数が激減
1977年に2,500頭近く生息していたパンダですが、その後の約10年で半数以下に激減してしまいました。
生息数が減少した背景には、以下のような要因が複合的に絡み合っています。
- 生息地の破壊:森林伐採や農地開発などにより、パンダの生息地である竹林が減少。
- 生息地の分断:道路やダムの建設などにより、パンダの生息地が分断され、えさの確保や繁殖のための個体群の移動が妨げられた。
- 竹の枯死による食糧難:主食である竹が30~120年に一度一斉に枯死する性質の影響で、一時的に食糧不足に陥った。
- 密猟:毛皮や肉を目的とした密猟が行われていた。(現在は厳しく禁止されている)
- 繁殖力の低さ:発情期が短い、一度に生む子の数が少ないなどの理由で個体数が増えにくい。
このような原因で生息数の減少が急速に進行した結果、1990年には「野生で非常に高い絶滅のリスクに直面している」として、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種(EN=危機)に指定されることになったのです。
1990年代以降:保護活動の成果で増加傾向に
中国政府や国際的な保護団体が長年にわたり取り組んできた保護活動が実を結び始め、1990年代以降、パンダの生息数が増加に転じました。
保護活動の具体的な内容をご紹介します。
- 保護区の設置:パンダの生息地に保護区を設け、森林伐採や開発を制限。現在では、67カ所258万ヘクタール以上の保護区が設立され、パンダの生息地の85%以上をカバーしている。
- 「緑の回廊」づくり:分断されたエリアどうしを竹林で再びつなぎ合わせる。
- 野生復帰プログラム:飼育下で生まれたパンダを野生に戻すための訓練を行い、自然に還す取り組み。
- 繁殖方法の研究:世界各地の動物園と協力し、飼育下での繁殖技術を向上。
- 国際的な協力:WWF(世界自然保護基金)などの国際的な保護団体と連携し、調査や保護活動を実施。
- ワシントン条約:ワシントン条約によって国際的な商業取引を禁止。
これらの保護活動の結果、野生のパンダの生息数は徐々に回復し、飼育下のパンダの数も増加しています。
そして、2016年にパンダの絶滅危惧レベルが「絶滅危惧種(Endangered)」から「危急種(Vulnerable)」に引き下げられたのです。
*参考:飼育されているパンダの数が世界で757頭に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
*参考:知ろう守ろうジャイアントパンダ|恩賜上野動物園
*参考:ワシントン条約の概要|環境省
ちなみに:野生のパンダの生息地はどんなところ?
現在、野生のジャイアントパンダは、中国南西部の四川省、陝西省、甘粛省の山岳地帯だけに分布しています。
パンダの生息地は、標高1,200~3,400メートルほどの、竹林が広がる地域です。夏は涼しく快適ですが、冬は雪に覆われる厳しい寒さが訪れます。
これらの地域には、臥龍(がりゅう)自然保護区や王朗(おうろう)自然保護区など、パンダの保護を目的とした自然保護区が設けられています。
もっと知りたい!ジャイアントパンダってこんな動物

野生のジャイアントパンダの生息数について詳しく見てきましたが、ここからはそもそもパンダってどんな動物なのか、補足情報をまとめます。
パンダのことをより詳しく知りたい方は、それぞれの関連記事もチェックしてみていただけるとうれしいです!
パンダは何科の動物?
ジャイアントパンダは、食肉目クマ科ジャイアントパンダ属に分類される動物です。
つまり、広い意味ではクマの仲間ということになります。しかし、長い間、パンダの分類は研究者の間で議論の的でした。
かつては、アライグマに近いとする説や、ジャイアントパンダとレッサーパンダで独立した「パンダ科」を設けるべきだとする説など、さまざまな意見がありました。
近年、DNA解析などの技術が進歩したことで、ジャイアントパンダはクマ科に最も近いことが明らかになり、現在の分類に落ち着きました。
*参考:Q6:ジャイアントパンダはどんなところに棲んでいるの?|上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
パンダの体の特徴は?
ジャイアントパンダのもっとも目立つ特徴といえば、白黒模様の体ですよね。
ですがそれ以外にも、ジャイアントパンダの体にはさまざまな秘密が隠されています。
例えば、効率よく竹を食べるために、手に「第6の指」と呼ばれる突起物があったり、かわいい丸顔に見えるのは、硬い竹をかみ砕くための筋肉が発達しているからだったり…。
パンダの体には不思議な魅力がたくさん詰まっています。
パンダの食べ物は?
パンダの主食は植物の笹(ササ)や竹(タケ)です。食べ物の99%は笹・竹ですが、ごくまれに小動物や果物などを食べることもあります。
パンダの祖先は肉食動物だったと考えられていますが、生存競争を勝ち抜くために、あえて栄養価が低く消化もあまり良くない竹を主食とするようになったと考えらています。
パンダの生態は?
パンダは、基本的に単独行動をする動物です。
繁殖期以外は、オスとメスが一緒にいることはほとんどありません。
自分の縄張りを持っており、木の幹に尿や分泌物でマーキングをすることで、他のパンダとの接触を避けています。
また、パンダは木登りが得意で、水泳もできるなど、意外な一面も持っています。
まとめ:パンダの生息数は増加傾向だけど…
ジャイアントパンダの生息数は、保護活動の成果もあり、近年増加傾向にあります。
ですが、依然として絶滅の危機から脱したわけではなく、生息地の分断や気候変動など、パンダを取り巻く状況は厳しいままです。
パンダの未来を守るためには、中国政府やWWFが保護・保全活動の継続ももちろん必要ですが、私たち一人ひとりがパンダの現状に関心を持ち、小さなことからでも実践することが重要です。