冬の動物園で見るマヌルネコは、夏よりひと回り大きく、まんまるに見えることがあります。
その正体は、寒くなると生え変わる冬毛です。
マヌルネコの冬毛は、ネコの仲間でいちばん密度が高いといわれるほどモフモフで、生息地では−50℃近くなる寒さから体を守っています。
この記事では、冬毛と夏毛の違いや生え変わりの時期、冬のマヌルネコの暮らしにまつわるエピソードを、動画を交えて紹介します。
さらに、マヌルネコの冬毛を見るのにおすすめの動物園や、冬に見に行くときの注意点もまとめます。
マヌルネコの冬毛はどれくらいモフモフ?
アメリカのスミソニアン国立動物園によると、マヌルネコの毛は、ネコ科の動物の中でも最も密に生えています。
世界自然保護基金(WWF)によると、その密度は1cm²あたり約9,000本にもなるそうです。
寒くなると、この密度が高く長い冬毛が全身を包みこみ、ひと回り大きく見えるモフモフでずんぐりした姿になります。
特にお腹の毛は長く、背中や脇腹の毛の約2倍の長さがあるそうです。
毛の先が白っぽくふわふわしているので、全身がうっすらオーラをまとっているように見えるのも、マヌルネコの毛の特徴です。
体の大きさはイエネコ(ペット用のネコ)とほぼ同じですが、長い毛のせいで、実際よりも大きく見えることがあります。

マヌルネコの夏毛と冬毛の違い
上の動画を見ていただくと分かるように、マヌルネコは、夏と冬で同じ動物とは思えないほど見た目が変わります。
夏場はやつれて見えるほどほっそりしてしまうのに、寒くなると驚くほどまるまるとした姿になるのです。
夏毛は短くて量も少ないので、体のラインが見えるほど、すっきりした細身になります。
一方の冬毛は、ネコ科の中でも特に密で長く、体がひと回り以上大きく見えるほどまんまるになります。
毛の色は、季節ごとの生え変わりで変わることがあり、住んでいる地域によっても灰色っぽい個体や、黄色っぽい・赤っぽい個体がいます。
夏毛・冬毛に生え変わる時期
マヌルネコは、季節に合わせて毛が生え変わる換毛をします。
スミソニアン国立動物園によると、気温が32℃を超える夏には、ふわふわの冬毛の多くが抜けて夏の姿になるそうです。
冬毛の姿を楽しめるのは、寒さが厳しくなる12〜2月ごろです。
マヌルネコが暮らす中央アジアの高地も夏は暑くなりますが、雨が少なく空気が乾いていて、湿気の多い日本の蒸し暑い夏とは環境が大きく違います。
上野動物園では一年中屋内で、埼玉県こども動物自然公園では夏は屋内で展示されていて、動物園でも暑さに気をつけながら飼育しています。
冬のマヌルネコにまつわる3つのエピソード
マヌルネコの生息地は、モンゴルや中国を中心とした中央アジアの高地の、乾いた草原や岩場です。
冬の山地では、気温が−50℃近くまで下がることもある一方で、夏場は30℃を超える日もあります。
そんな厳しい環境で、マヌルネコは夏毛・冬毛に姿を変えながら、一年を通して暮らしています。
動物園で見られるしぐさの中にも、野生で寒さをしのぐための習性がかくれています。
ここでは、冬のマヌルネコが寒さをしのぐ工夫が分かる3つのエピソードを紹介します。
①すき間なく生えた分厚い冬毛
マヌルネコが寒さに強いいちばんの理由は、すき間なくびっしりと生えた毛に覆われていることです。
たっぷりの毛が空気をたくわえて、冷たい風や寒さから体を守っています。
特に長いお腹の毛は、雪の積もった地面に腹ばいになったときにも、体と地面の間をしっかり覆ってくれます。
また、目のまわりには瞬膜(しゅんまく)という薄いまぶたがあり、冷たい風や砂ぼこりから目を守っています。
体は筋肉質で厚い皮下脂肪もあり、ずんぐりした体つきそのものが、寒い土地に合ったつくりになっています。
②しっぽを使って寒さをしのぐ
マヌルネコのしっぽは太く、体と同じようにモフモフしています。
マヌルネコは寒いとき、自分のしっぽの上に座って、足先を冷たい地面から守ることがあります。
動物園でも、座ってしっぽを体に巻きつけ、その上に前足をのせてふみふみする「しっぽふみふみ」のしぐさが見られることもあります。
肉球には毛が生えておらず冷えやすいので、モフモフのしっぽに前足をのせることで、暖をとっていると考えられています。
見かけたらラッキーなかわいいしぐさです。
③雪の積もりにくい場所を選んで暮らす
寒さに強いマヌルネコですが、意外にも深い雪は苦手です。
IUCN SSC ネコ科専門家グループによると、マヌルネコは15cm以上の雪が積もったままになる場所には、あまり暮らしていないそうです。
野生では、雪の積もりにくい南向きの斜面を好んで暮らしています。
脚が短いマヌルネコにとって、深い雪の中を歩いたり、獲物を追いかけたりするのは大変なのかもしれません。
冬にマヌルネコを見るなら?おすすめ動物園情報
冬毛のマヌルネコに会いに行くなら、12〜2月ごろがねらい目です。
白い雪の中、モフモフの冬毛で過ごすマヌルネコは「雪マヌル」とも呼ばれていて、冬にしか見られない特別な姿です。
日本国内では、以下の9つの動物園でマヌルネコを見ることができます。
(動物園名から、各園の展示場所や見どころを紹介した記事に飛ぶことができます。)
| 動物園 | 都道府県 | 飼育数 | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 旭山動物園 | 北海道 | 2頭 | ・2026年に増築した新展示場 ・雪国ならではの日本一モフモフな冬毛 |
| 那須どうぶつ王国 | 栃木県 | 2頭 | ・屋外展示場「マヌル・アマルハン」(2頭を不定期で展示) |
| 埼玉県こども動物自然公園 | 埼玉県 | 3頭 | ・乾燥した岩場をイメージした「マヌルロック」 |
| 上野動物園 | 東京都 | 4頭 | ・昼の姿と夜の姿を両方観察できる |
| 野毛山動物園 | 神奈川県 | 1頭 | ・2025年11月に園として初めて飼育を開始 |
| 東山動植物園 | 愛知県 | 5頭 | ・2025年生まれのノブ・ヤス |
| ごかつら池どうぶつパーク | 三重県 | 1頭 | ・2025年12月に園として初めて飼育を開始 |
| 王子動物園 | 兵庫県 | 1頭 | ・マヌルネコを含む珍しいネコ科6種 |
| 神戸どうぶつ王国 | 兵庫県 | 7頭 | ・2026年5月生まれの5頭と母親のアズの親子展示 |
なかでも、「雪マヌル」を見るのにおすすめなのが、北海道の旭山動物園(北海道)と栃木県の那須どうぶつ王国(栃木県)です。
特に、9か所の中で最も北にある旭山動物園では、北国ならではの日本一モフモフなマヌルネコを見ることができます。
栃木県の那須どうぶつ王国も、冬は雪が積もることがあり、屋外展示場で「雪マヌル」を見られることがあります。
寒冷地の動物園に行く際には、防寒や雪対策を徹底して、気を付けて行動するようにしましょう。
- しっかり防寒する
屋外展示場の前ではじっと待つことも多いので、帽子・手袋・厚手の上着で暖かくして出かける - 滑りにくい靴で行く
雪や氷が積もった園内は滑りやすい。旭山動物園は坂も多い - 雪道の運転に気をつける
車で行くなら冬用タイヤが必要な時期もある。雪道に慣れていなければ、電車やバスを使うのも安心 - 開園時間と休園日を確かめる
冬は開園時間が短くなったり、休園期間があったりするので、出かける前に公式サイトで確認する
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まとめ
マヌルネコの冬毛と、冬の暮らしについて紹介しました。
マヌルネコの冬毛はとても密で、冬はひと回り大きく見えるほどモフモフになります。
反対に夏は、ふわふわの毛の多くが抜けて、すっきりとした細身の姿に変わります。
分厚い冬毛やしっぽの使い方、雪の積もりにくい場所を選ぶ暮らし方で、−50℃近くになる高地の冬を乗りこえています。
冬にマヌルネコを見に行くなら、雪景色の中の姿に会える旭山動物園や那須どうぶつ王国が特におすすめです。
しっかり防寒して、冬だけの特別なモフモフの姿を見に出かけてみてください。

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