「パンダ」と聞くと、白黒の体で竹を食べるジャイアントパンダを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
でも実は、「パンダ」と呼ばれる動物は1種類ではありません。
赤茶色の体としま模様のしっぽを持つレッサーパンダも、れっきとした「パンダ」です。
さらにジャイアントパンダの中には、地域によって見た目が少し違うグループ(亜種)や、茶色や真っ白な、白黒ではないパンダもいます。
この記事では、パンダの種類を、①「パンダ」と呼ばれる2種類の動物、②ジャイアントパンダの2つの亜種、③色の違う珍しいパンダの順に紹介します。
ジャイアントパンダとレッサーパンダとの違いも、ひと目でわかる表にまとめました。
パンダの種類は何種類?
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「パンダ」と呼ばれる動物は、ジャイアントパンダとレッサーパンダの2種類です。
「○○パンダ」という名前は共通していますが、ジャイアントパンダはクマ科、レッサーパンダはレッサーパンダ科に分類される、まったく別の動物です。
どちらも中国などの山地の森にすみ、竹を食べるという共通点があります。一方で、体の大きさはまったく違い、色や模様も別ものです。
ジャイアントパンダとレッサーパンダの違いを表にまとめました。
| 項目 | ジャイアントパンダ | レッサーパンダ |
|---|---|---|
| 分類 | 食肉目クマ科 | 食肉目レッサーパンダ科 |
| 亜種 | 四川パンダ・秦嶺(しんれい)パンダの2亜種 | シセンレッサーパンダ・ネパールレッサーパンダ(ヒマラヤレッサーパンダ)の2亜種 |
| 大きさ | 体長120〜180cm/体重80〜120kg前後 | 体長60cm前後/体重4〜7kg |
| 体の色 | 白と黒(まれに茶色や白も) | 赤茶色。しっぽにしま模様 |
| 生息地 | 中国の四川省・陝西省・甘粛省の山地 | ネパール・ブータン・インド北東部・ミャンマー北部・中国の山地 |
| 食べ物 | ほとんどが竹やタケノコ | 竹やタケノコのほか、果実・昆虫・鳥の卵なども |
| レッドリスト | 危急種(VU) | 危機(EN) |
| 日本にいるか | 日本の動物園にはいない | 全国の多くの動物園で会える |
※レッサーパンダのデータは札幌市円山動物園の資料による。2026年10月時点の情報です。
【豆知識】もともと「パンダ」といえばレッサーパンダのことだった
意外なことに、先に「パンダ」と呼ばれていたのはレッサーパンダのほうです。
レッサーパンダは1825年に、フランスの動物学者フレデリック・キュヴィエによって名付けられました。
その後、中国で白黒の大きな動物が見つかり、こちらは「ジャイアント(大きな)パンダ」と呼ばれるようになりました。
それに合わせて、もとの「パンダ」は「レッサー(小さいほうの)パンダ」と呼び分けられるようになったのです。
名前が似ているため、長いあいだ2種類は近い仲間だと考えられてきました。
しかしDNAの研究が進んだ結果、ジャイアントパンダはクマの仲間、レッサーパンダはレッサーパンダだけの独立したグループだとわかっています。
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レッサーパンダはさらに2種類に分かれる?
レッサーパンダには、中国の四川省などにすむシセンレッサーパンダと、ネパールなどヒマラヤ沿いにすむネパールレッサーパンダ(ヒマラヤレッサーパンダ)がいます。
2種類の生息地の境目は、中国の雲南省などを流れる怒江(ヌー川)だと考えられています。
見た目では、シセンレッサーパンダのほうが顔の赤みが強く白い部分が少なめで、しっぽのしま模様がはっきりしているといわれます。
また、頭の骨もシセンレッサーパンダのほうが長めです。
2020年、中国の研究チームがDNAをくわしく調べ、このシセンレッサーパンダとネパールレッサーパンダは別々の「種」に分けるべきだと発表しました。
研究では、この2グループはおよそ20万年前に分かれたと推定されています。
ただし、これまでどおり1つの種の中の亜種として扱う考え方も根強く、議論は今も続いています。
- 種(しゅ):生き物を分類するときの基本の単位です。自然の中で、おたがいに子どもを残せる仲間のまとまりを、1つの「種」と考えます。
- 亜種(あしゅ):同じ種の中で、すむ地域によって色や形、大きさなどに違いがあるグループです。同じ種なので、亜種どうしでも子どもを残すことができます。
なお日本の動物園で会えるレッサーパンダの多くは、シセンレッサーパンダです。
ジャイアントパンダには2つの亜種がいる
ジャイアントパンダは1つの種ですが、すんでいる地域によって「四川パンダ」と「秦嶺パンダ」の2つの亜種に分けられています。
2005年、中国の研究チームが、陝西省の秦嶺山脈にすむパンダを四川省などのパンダとは別の亜種として発表しました。
秦嶺パンダは、頭が小さめで丸みのある顔つきをしているのが特徴です。
| 亜種 | 学名 | 生息地 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 四川パンダ | Ailuropoda melanoleuca melanoleuca | 四川省・甘粛省の山地 | 頭骨が大きく、奥歯は小さめ |
| 秦嶺パンダ | Ailuropoda melanoleuca qinlingensis | 陝西省の秦嶺山脈 | 頭骨が小さく、奥歯は大きめ。毛が茶色っぽい |
秦嶺パンダの「茶色っぽい毛」は、次に紹介する茶色いパンダとも深い関係があります。
茶色いパンダ・白いパンダもいる!
中国では、非常に珍しい茶色いパンダや真っ白なパンダも見つかっています。
ですが、これらはどちらも同じジャイアントパンダで、毛の色だけがちがう「色のバリエーション」です。違う「種類」ではありません。
人によって髪や目の色がちがうように、パンダにもごくまれに、白黒ではない色の個体が生まれることがあるのです。
ここからは、秦嶺で見つかった茶色いパンダと、臥龍で見つかった真っ白なパンダを順に紹介します。
茶色いパンダ「七仔(チーザイ)」
ジャイアントパンダの中には、白黒模様の黒い部分が茶色いパンダもいます。
「茶色いパンダ」としていちばん有名なのが、秦嶺で保護されたオスの七仔(チーザイ)です。
七仔は、目のまわりや手足など、本来黒い部分が薄い茶色をしています。
飼育されているパンダの中で、茶色いパンダは世界で七仔ただ1頭です。
七仔は陝西省西安市の楼観台(ろうかんだい)にある繁殖保護センターで暮らしています。
茶色いパンダが初めて見つかったのは1985年のことです。
これまでに11件の目撃報告があり、そのうち写真などで確認されたのは7件です。見つかっているのは、いずれも秦嶺のパンダです。
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パンダが茶色くなる理由は?
なぜ茶色になるのかは長いあいだ謎でしたが、2024年に中国科学院の研究チームが答えを発表しました。
研究によると、色素づくりにかかわる遺伝子の一部が欠けていることが、もっとも有力な原因だと考えられています。
この遺伝子の変化を、お父さんとお母さんの両方から受け継いだときにだけ、毛が茶色くなります。
片方からしか受け継がなかったときは、遺伝子の変化を持っていても見た目は白黒のままです。このような遺伝のしかたを「劣性遺伝」といいます。
七仔のお父さん・お母さん・息子は遺伝子の変化を1つずつしか持っていないため普通の白黒模様をしています。
七仔だけが、お父さんとお母さんの両方から遺伝子の変化を受け継いだため、茶色いパンダになったのです。
研究では、この遺伝子の変化は秦嶺以外の山系のパンダからは見つかりませんでした。
白いパンダ(アルビノ)
真っ白なパンダは、茶色いパンダよりもさらに珍しく、確認されているのは世界でこの1頭だけです。
2019年、四川省の臥龍(がりゅう)国家級自然保護区に設置されたカメラが、全身が真っ白な野生のパンダをとらえました。
このパンダは、生まれつき体の色素を作れない「アルビノ」という体質を持っています。
アルビノのジャイアントパンダが確認されたのは、世界で初めてのことでした。
その後、2023年5月には正面からとらえた映像が公開され、2026年5月にも元気に暮らす姿が撮影されています。
- アルビノ:目を含む全身の色素を、生まれつき作れない体質です。目の奥の血管が透けて、目が赤く見えるのが見分けるポイントです。
- 白変種(はくへんしゅ):色素は作れますが、量が少なくて体が白っぽく見えるものです。目の色はふつうと変わりません。
臥龍の白いパンダも目が赤く、アルビノだと判断されました。
アルビノも茶色いパンダと同じく、劣性遺伝で現れると考えられています。
白い体は森の中で目立つため天敵などに見つかりやすくなりますが、白いパンダは元気に成長していて、専門家も今後の様子に注目しています。
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まとめ
「パンダ」と呼ばれる動物は、クマ科のジャイアントパンダと、レッサーパンダ科のレッサーパンダの2種類です。
もともと「パンダ」はレッサーパンダの呼び名で、あとから見つかったのがジャイアントパンダでした。
ジャイアントパンダには四川パンダと秦嶺パンダの2つの亜種がいます。
さらに、秦嶺には茶色いパンダ、臥龍には真っ白なアルビノのパンダもいて、どちらも遺伝子の変化によるものと考えられています。
同じ「パンダ」でも、種類や色にはこれだけの違いがあります。
動物園でレッサーパンダを見かけたときや、パンダのニュースを見るときに、思い出してみてください。

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